名門レーベルだからこそなし得ることができた、各界のスーパースターを一同に介した21世紀不朽の名演奏
ドイツ・ロマン派を代表するシューマンの名曲と、多くのピアニストが弦楽四重奏団と録音してきたブラームスの代表曲。アルゲリッチと3人の名手の隙のない緊密な共演により、作品の真価と魅力をさらに高めたこの2曲を、その演奏と録音のすばらしさをより鮮明に満喫できるSuper Audio CDハイブリッドでディスク化。
エソテリックによる名盤復刻シリーズ SACDハイブリッドソフト
ESOTERIC(エソテリック)は、「ESOTERIC名盤復刻シリーズ」スーパーオーディオCDハイブリッド盤3作品を発売開始いたします。社内に構築した「エソテリック・マスタリング・センター」にてリマスタリングを行いました。定評の丁寧なマスタリング作業に、独自のデジタル技術を駆使して開発した「Esoteric Mastering」の音楽表現力が加わり、さらなる感動をお届け出来るスーパーオーディオCDに仕上がっています。
20世紀後半〜21世紀の指揮界を牽引したオランダの静かな巨匠
20世紀の後半以降を代表するピアノの巨匠、アルゼンチンのブエノスアイレス生まれのマルタ・アルゲリッチ。彼女が国際的に注目されたのは、1957年のジュネーヴ国際コンクールで第1位になってからです。その時の第2位があのポリーニということからもアルゲリッチの実力が分かっていただけると思います。その後、フリードリヒ・グルダに師事したアルゲリッチは、ヨーロッパ各地で演奏して評判になり、1960年にドイツ・グラモフォンにデビュー盤を録音、これも大いに話題になりましたが、なんと翌年から活動を中断します。そして1965年にショパン国際コンクールに優勝。その後は着実に演奏と録音活動を再開しました。それからの活動は順風満帆、現在までピアノ界を牽引するかのように第一線で活躍しています。
この半世紀、室内楽を中心に活動していたアルゲリッチの代表的な1枚
1970年代に入ると、それまでのソロ活動よりも、親しくなったネルソン・フレイレやスティーヴン・コヴァセヴィチに代表されるピアニストたちとのデュオによるレパートリーが目立つようになりました。さらにそれに加え、室内楽の演奏と録音も次第に多くなってきます。ベルリン・フィルを退団直後のフルート奏者ジェイムズ・ゴールウェイと1975年に録音したフランクとプロコフィエフのフルート・ソナタを皮切りに、そして1980年代になるとソロ活動はほとんどなくなります。チェロの大御所ムスティスラフ・ロストロポーヴィチとのソナタ、そしてとくに重要な役割を果たしたのはチェロのミッシャ・マイスキーとの共演でした。本シリーズでもリリースされたシューベルトのアルペジオーネ・ソナタ、シューマンの幻想小曲集etc,など極め付けの名演を多く残しています。このようにアルゲリッチはソロ活動から離れ、室内楽、ピアノ・デュオ、協奏曲を中心にここ半世紀は演奏活動を行ってきたのです。本作品はその中でも世界的名手を集め、彼女が精力的に行ってきた室内楽演奏の代表的な1枚といえる素晴らしい内容、出来栄えです。
各ジャンルの第一人者が一堂に結集したスーパー・クヮルテット
ミッシャ・マイスキーは1948年に現在はラトヴィア共和国の首都リガに生まれた、現在ナンバーワンのチェロ奏者です。8歳からチェロを始め、モスクワ音楽院でロストロポーヴィチに師事していた1970年にソ連当局の罠で約1年半を強制収容所で過ごした後に亡命、1973年に渡米してピアティゴルスキーに師事、カサド国際コンクールに優勝して演奏活動をはじめました。1976年にギトリスが主宰するヴァンス音楽祭でアルゲリッチに出会ってからは世界中で共演、バッハ、ベートーヴェン、ブラームスのソナタなどの録音も行っています。
ヴァイオリンのギドン・クレーメルも1947年リガ生まれ。1965年からモスクワ音楽院でオイストラフに師事して1970年のチャイコフスキー国際コンクールに優勝後は世界的に活躍していましたが、1980年に自由な活動を求めてソ連から西ドイツに亡命。すぐに同郷のマイスキーに紹介されたアルゲリッチのバルトークのソナタを聴いて即座に共演を依頼しました。そして彼が1981年から開始したロッケンハウス音楽祭をはじめ世界各地で共演し、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集もアルゲリッチと録音しています。
ヴィオラ奏者ユーリ・バシュメットは1953年ウクライナ、ロストフ生まれ。圧倒的なテクニックと変幻自在の表現力によってヴィオラという楽器の異本的概念をくつがえし、独奏楽器としてのヴィオラの可能性を広げたスーパー・ヴィオリストです。8歳でヴァイオリンを始め、14歳でヴィオラに転向、1971年にモスクワ音楽院に入学し、ソロ、アンサンブル等、多方面に活躍しているヴィオラ奏者の頂点に数十年君臨しているスーパー演奏家です。
ドイツ・ロマン派を代表する名曲に新たな息吹を注いだ巨匠達による名演奏
2曲ともシューマン夫人クララが初演後、ドイツ・ロマン派を代表する名曲として知られ、ブラームスは多くのピアニストが弦楽四重奏団のメンバーと録音してきましたが、アルゲリッチと3人の名手との隙のない緊密な共演、シューマンはアルゲリッチとの親密な音楽関係を築きあげている巨匠2人による共演で、作品の真価と魅力をさらに高めた名演が展開されています。
ブラームスのピアノ四重奏曲には、シェーンベルクの編曲による管弦楽版があります。シェーンベルクはこの曲に交響曲的な要素を感じたということでしょう。そして実際この編曲は成功し、ブラームスの交響曲第5番などとあだ名で呼ばれることもあります。この曲が、4つの楽器ががっちりと一体になった、シンフォニックな作品だということは、当然の前提となっているのです。実際、管弦楽版だけでなく、オリジナルの演奏でも、そのような演奏がなされるのが一般的なのですが、アルゲリッチらの演奏はそのようなシンフォニックな解釈とは対極。この演奏では、アルゲリッチが、その個性的なピアノで弦楽器の3人をぐいぐい引っ張っていきます。その辺りをじっくり聴き取っていただければと考えています。
若い頃からシューマンを得意にしていて、多くのピアノ・ソロ演奏もレコーディングしているアルゲリッチですが、こちらもやはり、彼女の主導により曲に新たな側面を感じさせる演奏になっています。
名門クラシック・レーベルならではの起死回生、超名演奏の記録
1998年1月、ハンブルクのフィッシャーマンズワーフはドイツ・グラモフォン100周年を祝う盛大なパーティで賑わいました。そしてそれは新たな旅立ちを世界中の音楽関係者に示す発表の場でもあったのです。その当時のグラモフォンはレパートリーの見直しを積極的に行っていました。頑なに拒んでいたアンドレ・プレヴィンに40年以上前に手掛けていたジャズの演奏を、パンク・ロックの雄エルヴィス・コステロに自作のオーケストラ作品をレコーディングさせたり、広いジャンルに志向を広げていました。80年代まではオペレッタ(喜歌劇)でさえ1作品くらいしか制作しなかった硬派のレーベルが、です。祝賀会場は基本的には立食形式でしたが、グラモフォンの所属するポリグラム・グループの総帥アラン・レヴィ、カラヤン未亡人、ヴァイオリニストのアンネ=ゾフィー・ムター、チェリストのマイスキーなどには貴賓席が用意され、ステージではアンネ・ソフィー・フォン・オッターとクリスティーネ・シェーファーがデュエットでコール・ポーターの「Just Do It」を指揮者クリスティアン・ティーレマンのピアノ伴奏で歌います。真打ちは貴賓席に座していたジプシー・ヴァイオリニスト、ラカトシュと彼のグループによる演奏で、カラヤン夫人がそれに合わせて踊り、世間にラカトシュの存在を植え付けようとしていました。まさに新生グラモフォンのお披露目のようなイヴェントだったのです。会場の末席には解散を決定されたグラモフォンの古楽レーベル“アルヒーフ”の面々が苦々しく、寂しげに立っています。これからのグラモフォンはどうなるのだろう、関係者の不安とかすかな期待が入り混じった表情が印象的でもありました。
それから数年、そんな不安を吹き飛ばすかのように、ファンが待ち望んだグラモフォン本来の姿を示す名盤、アルゲリッチとスーパー弦楽奏者による演奏が、ここに誕生したのでした。当然のことながら大好評を博し、2003年度レコード芸術誌「レコード・アカデミー賞」では大賞に次ぐ“銀賞”を獲得しています。
レコーディングが行われたのはベルリンのテルデック・スタジオ。ホールではありませんが、最近では使用頻度の一番高いスタジオで、クラシック音楽に最適な美しい余韻が関係者の間でもかなり高い評価を得ています。
本作もこれまで同様、使用するマスターの選定から、最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業をおこないました。特にDSDマスタリングにあたっては、「Esoteric Mastering」を使用。 入念に調整されたESOTERICの最高級機材Master Sound Discrete DACとMaster Sound Discrete Clockを投入。またMEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、オリジナル・マスターの持つ情報を伸びやかなサウンドでディスク化することができました。
「アルゲリッチと3人の名手との隙のない緊密な共演で作品の真価と魅力が高められる」
「はっとするようなニュアンスでアルゲリッチが奏でるテーマから演奏に引き込まれる。ダイナミックは蚊の羽音のようなピアニシモから大山を動かすフォルティッシモまで幅広く、表現も実に多彩。緩徐楽章など別世界に連れ去られるような感があるが、これも先行楽章の緊張感あってのこと。終楽章は踊り狂うようなリズムで熱狂的に締めくくられる。」
『クラシック不滅の名盤1000』より
「ブラームスのピアノ四重奏曲は多くのピアニストが弦楽四重奏団のメンバーと録音してきたが、アルゲリッチと3人の名手との隙のない緊密な共演は、作品の真価と魅力をさらに高めた名演であり、今回のハイブリッド盤は、その演奏と録音のすばらしさをより鮮明に満喫できるディスクである。」
本ディスク・ライナーノーツより抜粋・浅里公三氏
「シンフォニック的要素を持つブラームス作品だが、ここでは従来のこの曲のイメージを打ち破る名演となっている。結果として、4人で弾いているにもかかわらず、この楽章全体がアルゲリッチの個性が充溢した音楽となる。第4曲〈フィナーレ〉は、ピアノ・ソロで始まるわけではないにもかかわらず、歯切れの良いリズム感にはアルゲリッチの個性が感じられる。もちろん、クレーメルやマイスキー、それにブラームスでのバシュメットも非の打ち所のない演奏を繰り広げているのだが、やはり両曲とも、アルゲリッチの室内楽だということが言えるだろう。」
本ディスク・ライナーノーツより抜粋・増田良介氏
[収録曲]
◇ヨハネス・ブラームス(1833-1897)
■ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 作品25
| [1] |
第1楽章:Allegro |
| [2] |
第2楽章:Intermezzo(Allegro ma non troppo) |
| [3] |
第3楽章:Andante con moto |
| [4] |
第4楽章:Rondo alla Zingarese(Presto) |
◇ロベルト・シューマン(1810-1856)
■幻想小曲集 作品88
| [5] |
第1曲:Romanze(Nicht schnell, mit innigem Ausdruck) |
| [6] |
第2曲:Humoreske(Lebhaft) |
| [7] |
第3曲:Duett(Langsam und mit Ausdruck) |
| [8] |
第4曲:Finale(Im Marschtempo) |
[詳細]
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)
ユーリ・バシュメット(ヴィオラ)[1-4]
ミッシャ・マイスキー(チェロ)
| 録音 |
2002年2月、テルデック・スタジオ、ベルリン |
| 初出 |
463 700-2(2004年1月5日) |
| 日本盤初出 |
UCCG-1121(2003年10月8日) |
| オリジナル・レコーディング |
[エクゼクティヴ・プロデュサー]T・ソン、エドワルト・マルク
[レコーディング・プロデューサー]シド・マクラクラン
[レコーディング・エンジニア]ライナー・メイラード
[テープ・エディター]ハンス・ユーリッチ・バスティン |
※製品の仕様、外観などは予告なく変更されることがありますので、予めご了承ください。