SP時代の最初の録音から約30年。LP時代に誕生した音楽を極め尽くした超ヴェテランによる至高のブラームスが、鮮度の高い極上のマスターからの理想的なカッティングによるLP盤として鮮烈によみがえる。
20世紀ドイツを代表する巨匠ピアニストにしてドイツの精神主義を体現化した音楽家ヴィルヘルム・バックハウス。巨匠カール・ベーム指揮するウィーン・フィルと1967年に録音したこのアルバムは発売以来一度たりともカタログから消えたことのない、まさにエヴァーグリーン的な名盤で、国内盤としては1993年以来約32年ぶりのアナログレコードでリリース。
ESOTERIC「名盤復刻シリーズ」アナログレコード 2作品発売
ESOTERIC(エソテリック)は、「ESOTERIC名盤復刻シリーズ」アナログレコード2作品を発売いたします。ESOTERIC独自の技術を駆使して開発した「Esoteric Mastering」によるリマスタリングと、拘り抜いたカッティング作業により、「アナログ新時代」を告げる作品に仕上がっています。
バックハウス+ベーム+ウィーン・フィル 20世紀ドイツ音楽の伝統が結晶化された永遠!
「ffss」(full frequency stereo sound 広帯域ステレオサウンドの頭文字)のロゴで知られるデッカならではの優れた録音技術による鮮明かつダイナミック・レンジが広く立体的なサウンドと相俟って、アナログ時代に高い評価を得ていたLPサウンド、それをエソテリックによるこだわりのアナログ化で実現。今回のLPではリマスタリングによる鮮やかで目の覚めるような音はそのままにアナログならではの、さらなる魅力も再現できるよう心がけました。
不滅のブラームスの名演がリフレッシュされたLPとしていまここに蘇る
録音が行われてからすでに半世紀が過ぎているというのに、この作品のあるべき姿がここに示されている、とも言える演奏が目の前で繰り広げられる、唯一無二の演奏です。
ヴィルヘルム・バックハウス(1884〜1969)は、20世紀ドイツを代表する巨匠ピアニストで、いわばドイツの精神主義を体現化した音楽家。青年時代には「鍵盤の獅子王」と呼ばれた絢爛たる技巧を誇示したヴィルトゥオーゾでしたが、年を経るに従って外面的な美しさを捨て去り、晩年には男性的な極みともいうべき武骨さを身上とする演奏家へと変貌を遂げました。無類のスケールの大きさと崇高な人間味を併せ持つその演奏は、ドイツ音楽の精髄ともいうべきで、バッハ、モーツァルト、ハイドン、ベートーヴェン、ブラームスなどのレパートリーにおいて、他に並ぶもののない奥義を極めた演奏を聴かせてくれました。バックハウスが、巨匠カール・ベーム(1894〜1981)指揮するウィーン・フィルと、1967年にデッカに録音したブラームスのピアノ協奏曲第2番は、発売以来一度たりともカタログから消えたことのない、まさにエヴァーグリーン的な名盤と称せましょう。
生涯三度目のブラームスにして決定的な名演奏
バックハウスは、少年時代に大ピアニストだったダルベールに師事し、ドイツ音楽の伝統(特にベートーヴェン解釈)を伝授されました。録音にも早くから積極的で、すでに旧吹込み時代の1908年には録音を開始し、電気録音時代にはEMIにかなりの録音を行っています。バックハウスの世界的な名声を決定づけたのは、1948年にLPレコードが実現するとともにデッカと契約して行なった一連の録音でした。1969年6月28日にオーストリアのオシアッハで開催したリサイタルを最後に7月5日に85歳の生涯を閉じるまで、ベートーヴェンのピアノ・ソナタと協奏曲の2度の全集をはじめ、バッハからブラームスに至る主要なレパートリーを主にジュネーヴとウィーンで録音、第2次大戦後はデッカに移籍し、モノラル〜ステレオを通じてその晩年の至芸をデッカならではの鮮明で立体的なサウンドで録音し続けました。
ブラームスの第2番は、バックハウスが最も得意とした協奏曲の一つで、SP時代の1939年にベーム/シュターツカペレ・ドレスデンと、モノラル時代の1952年にシューリヒト/ウィーン・フィルとセッション録音を行なっており、1967年のベーム/ウィーン・フィルとのステレオ録音は3度目の録音となったものです。
録音から半世紀以上になる現在も多くの人から最高の名演として愛聴されているように、ブラームスの傑作の初演以来の伝統を継承してきた2人の巨匠が共演した最後の録音でもあり、まさに歴史的名盤というにふさわしい録音なのです。
理想的なオーケストラを操るベームとのコラボレーション
バックハウスはこの録音時すでに83歳、指揮者ベームは彼より10歳年下。1917年にグラーツ歌劇場でデビュー、1934年からドレスデン・シュターツカペレ(国立歌劇場)の音楽監督を務め、1943〜45年と1954〜56年にはウィーン国立歌劇場の音楽監督を務めました。その後、ベームはウィーンを中心にザルツブルク音楽祭とバイロイト音楽祭、メトロポリタン歌劇場をはじめ世界の主要な歌劇場とオーケストラで活躍、1981年に亡くなる前年までウィーン・フィルとしばしば来日して多くのファンに愛された巨匠でした。
この2人による共演はまさに最高のコンビネーション。響き、テンポ、呼吸感、全てにおいてこの曲の理想とされる演奏が展開されています。
デッカが重用した録音場所ウィーンのゾフィエンザール、ここにアナログ時代のデッカ・サウンドの秘密が...
プロデュースは、デッカでブリテンやケルテスの録音を担当したレイ・ミンシャルで、エンジニアのマイク・マイルズとのコンビで収録に当たりました。1956年以来1980年代にいたるまで、デッカのウィーンにおけるステレオ・セッションのホームグラウンドとなったゾフィエンザールは、19世紀前半に浴場として建てられ、その後舞踏会場として使われていた建物で、ヨハン・シュトラウスも頻繁に舞台に立ちました。このホールは、細部の音まで明晰に収録・再現しようとするデッカのレコーディング・ポリシーに最適で、伝説的なショルティの《ニーベルングの指環》をはじめとする、デッカ・サウンドの代名詞となった名録音が次々と生み出されました。このブラームスもその1枚で、渋みを持った美しいソロ・ピアノ(ベーゼンドルファー)を中心に、その背景に、シルキーでしかも厚みのある弦楽パート、香ばしい輝きを放つ金管、ウィンナ・オーボエやクラリネットなど個性的な響きを披露する木管などをくっきりと立体的に再現し、録音後、ほぼ半世紀を経た現在も、その鮮明なサウンドの魅力は色あせていません。
今回は、国内盤としては1993年以来約32年ぶりのアナログレコードでのリリースとなります。オリジナルマスターより「Esoteric Mastering」にて、新たにアナログレコード専用のマスタリングを行いました。入念に調整されたESOTERICの最高級機材 Master Sound Discrete DACとMaster Sound Discrete Clock、MEXCELケーブルを惜しげもなく使用し、徹底して高音質化を目指したマスターを作成しました。アナログ・カッティングは、ミキサーズラボ社にて、アナログ最盛期の名機、ノイマン社製カッティング・レース VMS80を使用しました。同機は西ドイツで製造され、現在日本国内では2台しか稼働していません。ミキサーズラボ社のご協力を得て、カッティングルームに「Esoteric Mastering」の機材を持ち込み、出力をノイマン社製カッティング・コンソールSP79Cにダイレクトに接続。コンソールのイコライザーを使わずに、「Esoteric Mastering」サウンドをそのまま、カッティング工程へ送り込みます。
カッティングは、ミキサーズラボ社のカッティング・エンジニア 北村勝敏氏。匠の手腕をマスター盤に注ぎ込んで頂きました。現在では、レコード・プレス用のマスター盤カッティングのみで、試聴のためだけにラッカー盤をカッティングする事は稀ですが、エソテリックでは音質を追及するため、コンソールへの伝送方式を変えながら複数のラッカー盤を作成しました。作成した複数のラッカー盤は、エソテリック・マスタリング・センターへ持ち帰り、ESOTERICのアナログターンテーブル Grandioso T1で試聴・音質確認を行い、最適な伝送方法を決定しています。
徹底してアナログの音にこだわりを込めて作成し、オリジナルマスターのもつ情報を伸びやかなサウンドでアナログレコード化することに成功しました。
「協奏曲ディスク史上に輝く、人類の持つ至宝」
「ドイツ音楽がそのまま音になったような演奏で、この作品を語る上でまず第一にあげられなければならない名演である。80歳を超えた大家が、ベーム/ウィーン・フィルによる極上のバックを得て、堅固に構築された様式感をもって堂々たるピアノをきかせている。しかしここには峻厳さとともに、音楽自体を語りかけてくるものがある。真の円熟からあふれ出る風格に圧倒される思いである。」
長谷川勝英『レコード芸術別冊・クラシック・レコード・ブックVOL.3 協奏曲編』1985年
「出来上がった演奏は豊かな風格を持ち、細部に至るまですべての要素がよく手の内に入っている。押し出しよく、伝統的な要素にも配慮が行き届き、間然とするところがない。まさに当協奏曲の大作の『金看板(盤)』と称してもおかしくないような存在感を持っている。ことトータルな側面で言うなら、この20世紀中ごろを中心に活躍した両大家の演奏は、新しい世紀を迎えた現代になっても、まだその価値を失っていない。」
吉井亜彦『クラシック不滅の名盤1000』2007年
「この曲をフィジカルに熟知しているウィーン・フィル、その構成感に徹底的に通じたベーム、そしてその両者を身に付けたバックハウスのあいだには一部の隙もなく、しかも融通無碍に呼吸しあい、黄金の三位一体を実現している。五十年もののブランデーの芳醇な味わいそのもの。そのような自然でまろやかな成熟感に富む演奏は、このところとんと聴かれなくなってしまった。」
喜多尾道冬『レコード芸術別冊・名曲大全 協奏曲編』1998年
「これは、ピアニスト、指揮者、オーケストラと三拍子そろい、そのいずれもが超弩級という、協奏曲ディスク史上に輝く、人類の持つ至宝といえよう。ここにはもはや演奏者の存在も作曲者の存在もなく、最高に精神的な一つの音楽だけが圧倒的な感動を伴って迫ってくるのだ。」
宇野功芳『レコード芸術別冊・演奏家別クラシック・レコード・ブックVOL.2 器楽奏者編』
「晩年のバックハウスの円熟境を如実にうかがわせる素晴らしい名演だ。ゆたかな抒情がしんみりと聴き手の心に迫り、少しもわざとらしさや、聴かせようという山っ気がない。老巨匠のブラームスへの挽歌であろうか。」
出谷啓『レコード芸術別冊・名曲名盤500 ベスト・レコードはこれだ!!』
「スケールが大きい雄渾な演奏といえば、これが代表的なものであろう。バックハウスも、ベームも、ともに全く気負いを感じさせない演奏なのだが、巨匠同士の顔合わせとあって、ここにはそこはかとなく滲み出てくる風格があり、それが魅力だ。」
岩井宏之『名曲名盤300 20世紀のベスト・レコードはこれだ!』
[収録曲]
◇ヨハネス・ブラームス(1833〜1897)
ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品83
| [Side A] |
| [1] |
第1楽章:Allegro non troppo |
| [2] |
第2楽章:Allegro appassionato |
| [Side B] |
| [1] |
第3楽章:Andante – Pi?・ adagio |
| [2] |
第4楽章:Allegretto grazioso-Un poco pi?・ presto |
[詳細]
ヴィルヘルム・バックハウス(ピアノ)
エマヌエル・ブラベッツ(チェロ)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:カール・ベーム
| 録音 |
1967年4月、ウィーン、ゾフィエンザール |
| LP初出 |
DECCA SXL-6322(1967年) |
| 日本盤LP初出 |
LONDON SLC-1638(1967年) |
| オリジナル・レコーディング |
[プロデューサー]レイ・ミンシャル
[レコーディング・エンジニア]マイク・マイルズ |
※製品の仕様、外観などは予告なく変更されることがありますので、予めご了承ください。