クリフォード・カーゾンとベンジャミン・ブリテンによる知る人ぞ知る至極のモーツァルト協奏曲不滅の名盤
モーツァルトに対し献身的なまでの愛情を注いでいた2人、世界最高のピアニストの一人と評されたクリフォード・カーゾンと彼が唯一認めたベンジャミン・ブリテンとの至極の協奏曲。さらに、これまでSuper Audio CDではリリースされたことがなく、このLPでしか聴くことのできないシューベルト『楽興の時』。彼が最も得意としていたレパートリーを新たに「Esoteric Mastering」によるリマスターでリリース。
ESOTERIC「名盤復刻シリーズ」アナログレコード 2作品発売
ESOTERIC(エソテリック)は、「ESOTERIC名盤復刻シリーズ」アナログレコード2作品を発売いたします。ESOTERIC独自の技術を駆使して開発した「Esoteric Mastering」によるリマスタリングと、拘り抜いたカッティング作業により、「アナログ新時代」を告げる作品に仕上がっています。
ESOTERICならではのこだわりのアナログレコード・ソフト
モーツァルトに対し献身的なまでの愛情を注いでいた2人、クリフォード・カーゾン(1907-82)とベンジャミン・ブリテン(1913-76)による至極の協奏曲です。カーゾンが75歳の生涯を閉じたとき、イギリスやアメリカの追悼記事では「世界最高のピアニストの一人」と評され、ドイツでは「純粋で高貴な美の表現が可能な名ピアニスト」と高く評価されたように、彼は20世紀を代表する名ピアニストであり、1977年にイギリスでは初めて「ナイト」の爵位を贈られたピアニストでした。ただわが国で意外に知られていないようなのは、一度も来日しなかったことや録音の少ないことも関係しているのでしょう。ただしそれには彼の芸術家としての一貫した主張が背景にはあったのです。
ロンドン生まれのカーゾンは、16歳で名指揮者ヘンリー・ウッドに認められてデビュー後、すぐれた才能が注目され、1928年から20世紀の古典派やシューベルトの普及に多大な貢献をした巨匠シュナーベルに2年間師事。1930年にベルリンにデビュー後、1932年からロンドンを中心にヨーロッパで活躍して名声を高め世界的に活躍、当時はロマン派の華麗な曲もかなり演奏しましたが、その後はレパートリーを活動の初期から一貫している古典派とシューベルト、シューマン、リスト、ブラームスなどの初期ロマン派に限定して名声を高めました。1970年代にはほとんどモーツァルトとシューベルトを集中的に演奏し、モーツァルトの聖地で開催されるザルツブルク音楽祭にも1955年から78年まで出演するほどのモーツァルト・スペシャリストになりました。本作では彼が最も得意としていたレパートリーをラインアップしています。
録音後12年の歳月を経てやっと世に出たモーツァルト、その背景にあるカーゾンのあくなき探究心、これこそが彼の本質
「カーゾンは純粋に音楽的な関心事への熱中を乱すような、スタジオやコントロールルームに予期せぬ人物が現れることは歓迎されず、訪問者は厳しく禁じられていた。」(プロデューサー;レイ・ミンシャル)
カーゾンは極端な録音嫌いではなかったものの、レコーディングに際しては万全のケアを必要とし、より完璧な表現を追求したピアニストであり、そのため余暇も研究と研鑽を重ね、録音終了後も発売を許可しなかった曲も多いプロデューサー泣かせの演奏家でした。
主要なレパートリーだったモーツァルトのピアノ協奏曲全集の録音を1960年代にデッカに提案したといわれていますが、生前に発売されたのはケルテスとロンドン響による1967年録音の第23、24番の1枚のみ。本作も録音から12年の歳月を経た1982年、彼が亡くなってからのリリースとなりました。そこにカーゾンの音楽・芸術に生涯を捧げたピアニストとしての本質があるのです。
妥協を知らぬ探求者である完璧主義カーゾンは常にこれが自身のモーツァルト演奏だ、ということに満足ができません。ことに第27番への思い入れは相当なもので、同胞ブリテンとの共創にも拘らず、後のコンサートで得た新しい感触・解釈を大切にするが故に、本作のリリースに許可を出しません。以前にも1964年のセル指揮ウィーン・フィル、1967年ケルテス指揮ロンドン響の収録にも発売許可は出しませんでした。やっと発売許可を出したのは1978年、それも4度目の新解釈によるレコーディングを行うという条件付きでの本作への承諾でした。しかしもうブリテンはこの世に居ません。カーゾン自身の健康面での問題もあり、新たなレコーディングを行うことはなく、彼の没後に本作は追悼盤としてリリースされたのです。その後にセル盤、ケルテス盤もリリースされますが、カーゾンが唯一認めたブリテンとの本作がカーゾンの求めた第27番、第20番だったと言えるでしょう。
現在、カーゾンの最高のモーツァルトとして広く知られている2曲の共演者、ブリテンは、いうまでもなく20世紀を代表する作曲家であり、すぐれた指揮者、ピアニストとして自作以外でも活躍したイギリスの巨匠です。指揮者としては1961年以後、オールドバラ音楽祭の常連となったイギリス室内管弦楽団との自作自演の他、J.S.バッハをはじめ少なからぬ録音を残しましたが、最も敬愛していたモーツァルトは主要な交響曲をほとんど録音していたようにカーゾン同様モーツァルトには深い愛情を注いでいました。
このLPでしか聴くことのできないシューベルトを新たにマスタリングして収録
今回のLPではSuper Audio CDではリリースされたことがない、これまたカーゾンが集中して演奏をしていたシューベルトの〈楽興の時〉も含まれています。エソテリック・マスタリング・センターの機材・ケーブルを駆使して新たにマスタリングを施しました。彼のシューベルト演奏もこのLPのもう一つの聴きどころであり、カーゾンの魅力満載のたのしみなトラックになっています。
LPにより再生の楽しみが増した、通常のデッカ・サウンド以上の魅力を持つ音空間
録音エンジニアはケネス・ウィルキンソン。有名な『ニーベルングの指環』を手掛けたゴードン・パリーの後を継ぐデッカが誇る名手です。録音場所のモールティングスは、イギリス東部のサフォーク州スネイブにあるコンサートホールで、もともとは19世紀にビールの醸造所として建てられた建造物です。1967年からはオールドバラ音楽祭のメイン会場として使われるようになり、ブリテンは自作自演のみならず、ブランデンブルク協奏曲、ヨハネ受難曲、モーツァルトやシューベルトの交響曲など、晩年のブリテン指揮演奏の殆どがここで行われています。
そしてここでの音が本作最大の魅力にもなっているのです。通常の所謂デッカ・サウンドとは一味ちがった趣です。明快で分離が良く、艷やかでダイナミック。アナログ時代に音楽ファンのみならず、オーディオ・ファンまでも魅了したあのサウンド…、それに響きの美しさ、温かさ、各楽器のブレンド感、滑らかな音質が加味された格別のサウンドが、ここにはあるのです。CDではなかなか表現し難かったそのサウンドをエソテリック・マスタリング・センターにてリマスタリングすることで目的を達成することが出来ました。今回は単なる音の良さ以上に、演奏の呼吸感、間のとり方にまで現れているようなホールの空気感をLPで体感していただければと思っています。
カッティングは、ミキサーズラボ社のカッティング・エンジニア 北村勝敏氏。匠の手腕をマスター盤に注ぎ込んで頂きました。現在では、レコード・プレス用のマスター盤カッティングのみで、試聴のためだけにラッカー盤をカッティングする事は稀ですが、エソテリックでは音質を追及するため、コンソールへの伝送方式を変えながら複数のラッカー盤を作成しました。
アナログレコード専用に新たにリマスタリングを行いました
オリジナルマスターより「Esoteric Mastering」にて、新たにアナログレコード専用のマスタリングを行いました。入念に調整されたESOTERICの最高級機材Master Sound Discrete DACとMaster Sound Discrete Clock、MEXCELケーブルを惜しげもなく使用し、徹底して高音質化を目指したマスターを作成しました。アナログ・カッティングは、ミキサーズラボ社にて、アナログ最盛期の名機、ノイマン社製カッティング・レースVMS80を使用しました。同機は西ドイツで製造され、現在日本国内では2台しか稼働していません。ミキサーズラボ社のご協力を得て、カッティングルームに「Esoteric Mastering」の機材を持ち込み、出力をノイマン社製カッティング・コンソールSP79Cにダイレクトに接続。コンソールのイコライザーを使わずに、「Esoteric Mastering」サウンドをそのまま、カッティング工程へ送り込みます。
カッティングは、ミキサーズラボ社のカッティング・エンジニア 北村勝敏氏。匠の手腕をマスター盤に注ぎ込んで頂きました。現在では、レコード・プレス用のマスター盤カッティングのみで、試聴のためだけにラッカー盤をカッティングする事は稀ですが、エソテリックでは音質を追及するため、コンソールへの伝送方式を変えながら複数のラッカー盤を作成しました。作成した複数のラッカー盤は、エソテリック・マスタリング・センターへ持ち帰り、ESOTERICのアナログターンテーブルGrandioso T1で試聴・音質確認を行い、最適な伝送方法を決定しています。徹底してアナログの音にこだわりを込めて作成し、オリジナルマスターのもつ情報を伸びやかなサウンドでアナログレコード化することに成功しました。
「整然とした解釈、控えめな折り目正しさと人間味溢れる感情」
「カーゾンの演奏では作品の論理的・様式的な把握とエモーション、研ぎ澄まされた指のタッチとペダリングの設計と瞬間的なインスピレーションが高度に有機的に統合されている。その演奏は感覚的に極めて繊細だが虚弱ではなく温かい。さらにカーゾンの演奏で聴くとき、作品はそのもっとも美しいプロポーションを見せる。モーツァルトはカーゾンのレパートリーの中でも文句なしに評価が高かった。このブリテンとの2曲は高質という言葉こそふさわしい。」
『クラシック名盤大全協奏曲篇・ONTOMO MOOK』音楽之友社 1998年
「最強奏でもその端麗な音質をそこなわず完璧にしとげられた数学の回答のごとき整然とした解釈。明瞭なオーケストラのアプローチがこれに肉薄する(第20番)。もっとも愛着を感じる演奏である。カーゾンの表現は、表面的には控えめで折り目正しいが、そこにはふくよかな歌が息づいており、人間味溢れる感情の起伏をも見出すことが出来るのである。」(第27番)
『レコード芸術編・名曲名盤300NEW』音楽之友社 1999年
「少しもこれ見よがしなところがなく、美しく清澄なタッチでいかにも自然体。こまやかに音楽を奏でているが、そこに得も言われぬ味わいが生まれるのは、演奏家としての格の高さだろう。ブリテンがそうしたカーゾンのピアノに巧く息を合わせて、しなやかにメリハリ良く音楽を運んで、爽やかな生気を添えている。」(第27番)
『クラシック不滅の名盤1000』音楽之友社 2007年
「カーゾンはピアノ表現のためのすべてを身につけた演奏家であったと言えよう。このモーツァルトでは考えうる限りの流麗さとニュアンス、こまやかなタッチが全曲にわたって繰り広げられる。モーツァルトの音楽の美しさの無限性を改めて感じさせる演奏となっている。ブリテンに関しては作曲家が本腰を入れて棒を振るとやはり凄い。各フレーズすべてがリニューアルされたような新鮮味と感動を覚える。」(第27番)
『21世紀の名曲名盤 2』音楽之友社 2003年
「一つ一つの音に手応えのある表現の温かさという点ではこれほどの音楽を聽かせてくれるピアニストはほとんどいない。ブリテンの指揮も第1楽章冒頭のシンコペーションからしても密やかなドラマを秘めた豊かな表情があり聴き手を一瞬にしてこの協奏曲のドラマへ引き込む説得力を持っている(第20番)。カーゾンのソロは真摯な態度で自然にこの作品にある一種の崇高さを表現していると言える。ブリテンもカーゾンにぴったり寄り添ってニュアンス豊かに効果的なサポートをしていく。」(第27番)
『レコード芸術編・名曲名盤300』音楽之友社 1993年
「シューベルトにおいてもカーゾンは作品の性格を的確に表現し、強い説得力で曲の魅力を主張している。」(楽興の時)
『ピアニスト名盤500・ONTOMO MOOK』音楽之友社 1997年
[収録曲]
■DISC 1
◇ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756〜1791)
ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466 / ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 K.595
| [Side A] |
| ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466 |
| [1] |
第1楽章:Allegro |
| [2] |
第2楽章:Romance |
[Side B]
|
| ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466 |
| [1] |
第3楽章:Rondo. Allegro assai |
| ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 K.595 |
| [2] |
第1楽章:Allegro |
■DISC 2
◇ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756〜1791)
ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 K.595
◇フランツ・シューベルト(1797〜1828)
楽興の時 D.780 作品94
| [Side A] |
| ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 K.595 |
| [1] |
第2楽章:Larghetto |
| [2] |
第3楽章:Allegro |
| [Side B] |
| 楽興の時 D.780 作品94 |
| [1] |
第1番:ハ長調 C major: Moderato |
| [2] |
第2番:変イ長調 A flat major: Andantino |
| [3] |
第3番:ヘ短調 F minor: Allegro moderato |
| [4] |
第4番:嬰ハ短調 C sharp minor: Moderato |
| [5] |
第5番:へ短調 F minor: Allegro vivace |
| [6] |
第6番:変イ長調 A flat major: Allegretto |
[詳細]
ピアノ:サー・クリフォード・カーゾン
イギリス室内管弦楽団(モーツアルト)
指揮:ベンジャミン・ブリテン(モーツアルト)
| 録音 |
1970年9月24日(協奏曲 第20番)、1970年9月25日(協奏曲 第27番)、1971年2月4〜6日(楽興の時)
イギリス・サフォーク、スネイプ・モルティングス・コンサート・ホール |
| LP初出 |
SXL 7007(1982年、モーツァルト)、DECCA SXL6523 (1971年、シューベルト) |
| 日本盤LP初出 |
LONDON L28C-1411(1983年、モーツァルト)、LONDON SLC-2150(1972年、シューベルト) |
| オリジナル・レコーディング |
[プロデューサー]]レイ・ミンシャル
[レコーディング・エンジニア]ケネス・ウィルキンソン、ピーター・ヴァン・ビーン(シューベルト) |
※製品の仕様、外観などは予告なく変更されることがありますので、予めご了承ください。