デノン創立110周年記念モデル
伝統のUHC-MOSと最新のアンプ設計技術を融合
1993年に発売された超弩級モノラルパワーアンプ「POA-S1」のために開発されて以来、改良を重ねデノンのHi-Fiアンプの根幹を担ってきた伝統の大電流素子UHC(Ultra High Current)-MOSによるシングルプシュプル回路。 そして1996年の発売以来、数々の賞を獲得し、トップシェアを守り続けてきた「PMA-2000シリーズ」から現行の「PMA-2500NE」に至るまで8世代に渡って磨き続けてきた最新のアンプ設計技術。PMA-A110は2020年のデノンが、この伝統と最新技術を融合させた110周年記念モデルです。また、デノンのサウンドフィロソフィーである「Vivid & Spacious」を具現化したリファレンスモデル「SX1 LIMITED」からも数多くのカスタムパーツや高音質パーツを受け継ぎ、サウンドマネージャーによる徹底したサウンドチューニングを施されています。筐体についても伝統のダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクションやSX1 LIMITED譲りのアルミ製トップカバー&フットを採用し、110周年記念モデルに相応しい高音質を実現しました。
主な特長
- 110周年記念モデル専用カラー、グラファイト・シルバー
- 5年間の無償保証サービス
- 新世代のAdvanced UHC-MOSシングルプッシュプル増幅回路
- 超低ノイズ可変ゲイン型プリアンプ&高精度な電子ボリュームコントロール
- CR型フォノイコライザー(MM / MC対応)
- 11.2 MHz DSD、384 kHz / 32 bit PCM 対応USB-DAC機能
- 最新にして最高のアナログ波形再現技術「Ultra AL32 Processing」
- PCからのノイズを遮断するアイソレーター
- SX1 LIMITED譲りの高音質パーツ&専用カスタムパーツを多数採用
- アルミ製トップカバー&フット
特徴
新世代のAdvanced UHC-MOSシングルプッシュプル増幅回路
「繊細さと力強さ」を高い次元で両立するために、出力段には微小領域から大電流領域までのリニアリティに優れ、大電流を流すことができるUHC-MOS( Ultra High Current MOS ) FETをシングルプッシュプルで用いるシンプルな回路を採用しています。多数の素子を並列駆動して大電流を得る手法において問題となる素子の性能のバラツキによる音の濁りを解決し、楽音の繊細な表情までを描ききる表現力を実現するために、デノンは1ペアという最小単位の素子による増幅にこだわり続けてきました。PMA-A110は、従来の差動3段アンプと比較して、発振に対する安定性に優れる差動2段アンプ回路を採用しました。UHC-MOSの大電流出力と安定性の高い回路構成により、様々なスピーカーを正確に、そして力強く駆動します。
超低ノイズ可変ゲイン型プリアンプ
PMA-2500NEでは、ハイゲインアンプによる一段増幅を採用していましたが、PMA-A110は新たに可変ゲイン型プリアンプとパワーアンプによる二段構成を採用しました。音量に合わせてプリアンプのゲインを増減させることにより、一般的に使用される音量の範囲内ではプリアンプでの増幅を行わず、パワーアンプのみで増幅することにより、ノイズレベルの劇的な改善を実現。限りなく繊細で透明感の高い空間表現力を獲得しました。
高精度な電子ボリュームコントロール
PMA-A110は、ノブを回す感触はそのままにボリュームの調整を電子化しました。センサーによりノブの回転角を検出し、その情報を元に高精度な電子ボリュームで音量をコントロールします。左右バランスやトーンコントロールにも同様の構成を採用。これによりフロントパネル上のノブとプリアンプ基板を行き来していた信号ラインを短縮することが可能となり、理想的なミニマムシグナルパスを実現することができました。
強力な電源回路
PMA-A110は、ノイズの原因である漏洩磁束の影響を打ち消すために、2つのトランスを対向配置するLC(リーケージ・キャンセリング)マウント方式を採用しています。整流回路には低損失、低ノイズなショットキーバリアダイオードを採用。ブロックコンデンサーにはPMA-A110専用の大容量カスタムコンデンサーを搭載し、十分かつクリーンな電流供給を実現しています。シンプル&ストレートな回路構成を生かし切るために、ダイオードユニットとブロックコンデンサーの接続部を最短化し、パワーアンプへの電源供給ラインを極限まで短くしています。さらに、電源ラインには極太のOFC線を用いて低インピーダンス化を図っています。
CR型フォノイコライザー(MM / MC対応)
PMA-A110は、MM型とMC型の両方に対応したフォノイコライザーを搭載しています。PMA-SX1 LIMITEDと同様に二段構成のCR型を採用しており、周波数によって音色が変化してしまうNF型フォノイコライザーに対して、全帯域で均一な音色、繊細で素直なサウンドを実現しています。
11.2 MHz DSD、384 kHz / 32 bit PCM 対応USB-DAC機能
PMA-A110は、PCと直接接続できるUSB-B入力を搭載。11.2 MHz DSD、384 kHz / 32 bit PCMに対応しています。DSDの伝送方式はASIOドライバーによるネイティブ再生とDoP (DSD over PCM Frames)に対応。PC側のジッターを多く含んだクロックを使用せず、PMA-A110の超低ジッタークロック発振器によって生成されるマスタークロックで制御を行うアシンクロナスモードにも対応しています。また、192 kHz / 24 bit PCMに対応した光デジタル入力を3系統、同軸デジタル入力を1系統装備しています。
テレビ自動再生機能
光・同軸デジタル入力は、テレビなどの外部ソースからの入力信号を検出すると自動的に電源が入る自動再生機能を搭載しています。4系統の入力から1系統を選択、または機能をオフにすることができます。
高周波ノイズを遮断するアイソレーター
USB接続されたPCから流入する高周波ノイズを遮断するために、USB-DAC回路と周辺の回路を電気的に絶縁する高速デジタルアイソレーター回路を搭載しています。同時にグラウンドも独立させることで、ノイズ対策を徹底。また、電源回路も回路ごとに独立させ、電源ラインを介した干渉も防止しています。さらに、デジタル入力回路を1.6mm厚の鋼板3枚によるトランスベースの下に配置することにより、デジタル入力回路からの不要輻射によるアナログオーディオ回路への悪影響を排除しています。
最新にして最高のアナログ波形再現技術「Ultra AL32 Processing」
PMA-A110は、デノンの最新アナログ波形再生技術「Ultra AL32 Processing」を搭載。Ultra AL32 Processingは、PCMデジタル入力信号に対して、前世代の2倍となる1.536 MHzへのアップサンプリングと32 bitへのビット拡張処理を行います。独自のビット拡張&データ補間アルゴリズムにより前後データの前後のデータの離散値からあるべき点を導き出し、本来のアナログ波形を再現する理想的な補間処理を行います。デジタル録音時に失われたデータを高い精度で復元することで、歪みのない繊細な描写、正確な音の定位、豊かな低域など原音に忠実な再生を実現しています。
高性能DACを4基使用したQuad-DAC構成
PMA-A110は、より力強いサウンドと、より良い空間表現を実現するために、DCD-A110と同様にQuad-DAC構成を採用。DCD-SX1 LIMITEDにも搭載されているステレオDAC「PCM1795」を左右チャンネルにそれぞれ2基(4ch)ずつ使用しています。Ultra AL32 Processingによりアップサンプリングされた1.536 MHzの信号を768 kHzに分割し、MONOモードで動作する2基(4ch)のDACに入力。片チャンネルあたり4chのDACを用いる並列構成により出力電流は4倍となり、S/N比の向上とよりエネルギッシュなサウンドを実現しました。
DACマスタークロックデザイン
デジタルオーディオ再生においては回路の動作の基準となるクロック信号の精度と低ジッターがパフォーマンスの鍵を握っています。D/Aコンバーターに供給するクロックの精度を最優先するために、D/Aコンバーターの近傍にクロック発振器を配置。DACをマスター、周辺回路をスレーブとしてクロック供給を行うことでD/A変換の精度を高めています。PMA-A110は、2つの超低ジッタークロック発振器(44.1kHz系 / 48kHz系)を搭載。ソースのサンプリング周波数に応じて切り替えることでジッターを徹底的に抑制しています。
アナログモード
PMA-A110は2種類のアナログモードを搭載しています。アナログモード1に設定すると、デジタルオーディオ回路がオフになり、繊細なアナログ入力信号への干渉を防ぐことができます。アナログモード2に設定中はディスプレイ表示も消灯し、PMA-A110は純粋なアナログアンプとして動作します。 ※アナログモード中はUSB-B、同軸デジタル、光デジタル入力は無効になります。
SX1 LIMITED譲りの高音質パーツ&専用カスタムパーツを多数採用
PMA-A110を理想的なサウンドに仕上げるために、音質担当エンジニアとサウンドマネージャーが試作と試聴を繰り返し、数多くの候補の中から厳選した高音質パーツを採用。さらにPMA-A110には、PMA-SX1 LIMITEDの開発過程においてデノン専用にチューニングされたカスタムコンデンサーなど多くのカスタムパーツが投入されています。
アルミ製トップカバー&フット
PMA-A110は、SX1 LIMITEDの流れを汲むアルミ製トップカバーとフットを採用しています。パーツ単体としての性能だけではなくPMA-A110とのマッチングを慎重に吟味し、試聴を繰り返して素材や形状、仕上げが決定されました。外観上の美しさを高めるとともに開放的で透明感に優れるサウンドにも大きく貢献しています。
金メッキスピーカー端子
PMA-A110のスピーカー端子には経年劣化を防ぐ金メッキを施し、長期に渡り高い信頼性を維持します。また、大型のYラグやバナナプラグにも対応しています。
外部プリアンプ入力端子
PMA-A110には、外部プリアンプを接続してパワーアンプとして使用するための「EXT.PRE」入力端子(固定ゲイン入力)を装備しています。AVアンプのプリ出力を接続し、フロントスピーカーをホームシアターシステムと共有することもできます。
その他の機能・特長
- 真鍮削り出し金メッキ入力端子(CD / PHONO)
- 録音出力端子
- 左右音量バランス調整機能
- トーンコントロール(BASS: 100 Hz ±8 dB、TREBLE: 10 kHz ± 8dB
- オートスタンバイモード(30分)
仕様説明
パワーアンプ部
定格出力 |
80 W + 80 W (8Ω、20 Hz 〜 20 kHz、THD 0.07 %)
160 W + 160 W (4Ω、1 kHz、THD 0.7 %) |
全高調波歪率 |
0.01 % (定格出力、-3 dB時、負荷8Ω、1 kHz) |
出力端子 |
スピーカー:負荷 4 〜 16Ω |
入力感度 / 入力インピーダンス |
EXT. PRE:0.9 V / 47 kΩ |
ゲイン値 |
29 dB |
プリアンプ部
入力感度 / 入力インピーダンス |
PHONO(MM): 2.5 mV / 47 kΩ
PHONO(MC): 200 μV / 100 Ω
CD、NETWORK/AUX、RECORDER :135 mV / 19 kΩ |
RIAA偏差 |
PHONO: ± 0.5 dB(20 Hz 〜 20 kHz) |
最大入力 |
PHONO(MM): 130 mV / 1 kHz
PHONO(MC): 10 mV / 1 kHz |
入出力端子
アナログ音声入力端子 |
アンバランス入力×3、PHONO入力×1、EXT. PRE×1 |
アナログ音声出力端子 |
アンバランス出力(RECORDER)×1、ヘッドホン出力× 1 |
デジタル音声入力端子 |
USB-B入力×1、同軸デジタル入力×1、光デジタル入力×3 |
その他 |
IRコントロール入出力×1 |
総合特性
S / N比(Aネットワーク) |
PHONO(MM): 84 dB(入力端子短絡、入力信号5 mV)
PHONO(MC): 72 dB(入力端子短絡、入力信号0.5 mV)
CD、NETWORK/AUX、RECORDER: 107 dB |
周波数特性 |
5 Hz 〜 100 kHz(0 〜 -3 dB) |
トーンコントロール |
BASS: 100 Hz ±8 dB
TREBLE: 10 kHz ± 8dB |
総合
外形寸法(W × H × D) |
434 x 182 x 450 mm |
質量 |
25.0 kg |
電源 |
AC 100 V、50 / 60 Hz |
消費電力 |
400 W |
待機電力 |
0.2 W |
付属品 |
かんたんスタートガイド、取扱説明書、リモコン、単4形乾電池 × 2、電源コード |