オーディオ逸品館.JP ESOTERIC - ESSD-90233/37(SACDソフト5枚組 ベートーヴェン:交響曲全集(エグモント序曲・コリオラン序曲))《JP》【完売】
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ESOTERIC - ESSD-90233/37(SACDソフト5枚組 ベートーヴェン:交響曲全集(エグモント序曲・コリオラン序曲))《JP》【完売】

商品コード : ESSD-90233
製造元 : ESOTERIC
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ESOTERIC 名盤復刻シリーズ紹介リンク
濃密かつ深みをたたえた衝撃のピリオド楽器によるベートーヴェン
 
ピリオド楽器によるオーケストラ演奏の常識を覆した指揮者ブリュッヘン

フランス・ブリュッヘン(1934-2014)は、1950年代より演奏活動を開始し、リコーダー(ブロックフレーテ)およびフラウトトラヴェルソによる演奏の可能性を格段に広めたオリジナル楽器演奏の草分け的な存在であり、かつその後半生においては指揮者としての才能を花開かせた音楽家でした。レオンハルト、ビルスマ、アーノンクール、シギスヴァルト、ヴィーラント、バルトルドのクイケン兄弟らとともに、第2次世界大戦後オランダを中心にヨーロッパで湧きあがったオリジナル楽器演奏の研究と実践の牽引者の一人であり、ブリュッヘンの卓越した技巧と千変万化する音色は、それまで古めかしいイメージがつきまといがちだったバロック時代の作品のイメージを塗り替え、現代に鮮烈によみがえらすことになりました。ブリュッヘンは1960年代にはテレフンケン・レーベルに、1970年代にはSEONレーベルに数多くの録音を残したのち、1981年にはオリジナル楽器を使用したオーケストラ、18世紀オーケストラを組織、リコーダーを脇に置いて指揮者に転向し、洞察力あふれる演奏で聴衆を魅了してくれました。
 
ブリュッヘンのもとに超一流のピリオド楽器奏者が馳せ参じた18世紀オーケストラ

「リコーダーのライオン」とまで異名をとったブリュッヘンでしたが、1981年、「もうリコーダーの音楽はたくさんだ!」と、同僚や後輩の優れたピリオド奏者たちに呼びかけて組織したのが18世紀オーケストラでした。「これからは真の傑作に取り組みたい」というブリュッヘンの言葉に、本当に自分が納得する音楽にのみ傾注し深めていきたいという強い意欲が表れています。この時期に登場したピリオド楽器オーケストラの多くは、レコード会社による録音の必要性から組織された団体でしたが、ブリュッヘンの18世紀オーケストラは当初からコンサートでの演奏を眼目に活動しており、コンサートマスターのルシー・ファン・ダール、チェロのヴォウター・メラー、トラヴェルソのコンラート・ヒュンテラー、リッカルド・カンジ、オーボエのクー・エビンゲ、ティンパニのマールテン・ヴァン・デア・ヴァルクらブリュッヘンの次の世代のピリオド奏者の精鋭による、ほぼ固定したメンバーで毎年演奏経験を積み重ね、鮮度と深みのあるサウンドを作り出したのです(日本からも有田正広、鈴木秀美、若松夏美らが参加)。1シーズンに2回ほどのツアーを活動の軸に据え、世界各国からブリュッヘンの音楽を慕って集まってくる音楽家たちとじっくりとリハーサルに取り組んだ上で、ツアーで同一プログラムを繰り返し演奏し、日々その精度を高めていくという方法がとられていました。
 
18世紀オーケストラ最初の10年の区切りとなったベートーヴェン

18世紀オーケストラという名前の通り、演奏レパートリーは「18世紀の傑作に限定する」と言明し、バッハを筆頭とするバロック音楽、リュリやラモーのオペラからの組曲などフランス・バロックの管弦楽曲と並び、演奏活動の中心に据えたのが、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなどの古典派の音楽でした。ベートーヴェンの交響曲全9曲の演奏と録音は1985年から1992年にかけて取り組まれましたが、当初は第3番「英雄」までとしていたブリュッヘンも、メンバーの技量が上がり、ブリュッヘンにもオーケストラにも新しい時代への音楽への自信が深まったことで、その方針を捨てて、第4番以降に進み、合唱入りの大曲・第9番までを網羅することになりました(その後レパートリーはさらに拡大し、シューベルト、メンデルスゾーンを経て最終的にはブラームスにまで到達)。さらに2002年と2011年に世界各地で全曲演奏が行われ、後者のロッテルダムでの公演はライヴ録音が行われ2度目の全集が完成しています。いわばベートーヴェンの交響曲全曲はブリュッヘンと18世紀オーケストラのトレードマークであり、この最初の全集録音は1981年に結成されたこのオーケストラの最初の10年の成果が結実したメルクマールといえるでしょう。
 
濃密かつ深みをたたえた響き

ブリュッヘン盤と前後して登場したピリオド楽器オーケストラによるベートーヴェンの交響曲全集には、ノリントン/ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ(1988年完成)、ホグウッド/エンシェント室内管(1989年完成)、ガーディナー/レヴォリュショネール・エ・ロマンティーク管(1994年完成)などがありますが、ブリュッヘンと18世紀オーケストラは最も濃密で深みをたたえた演奏であることが最大の特徴といえるでしょう。ブリュッヘンの微に入り細を穿つ演奏解釈は、テンポの速さや快適さ、ピリオド楽器らしい古雅な響きを売りにするのではなく、「こうでなくてはならぬ」という確信に溢れ、作品の内奥に迫り、作曲家の精神を抉り出すような重みをたたえています。管楽器は指定通りで倍管にせず弦楽パートも小さめの編成であるにもかかわらず、全体の響きは堂々たるもので、ベートーヴェンの音楽のスケールの大きさを体現しているかのようです。さらに第9番では弦楽パートを倍に増強し、合唱や独唱を含む作品が要求する大きな響きに応えるように配慮しています。
 
最高の状態でのSuper Audio CDハイブリッド化が実現

ブリュッヘンと18世紀オーケストラの旧フィリップス録音は、ほとんどがそれぞれのツアーの最後に、オランダのユトレヒト(アムステルダムから南東に電車で約30分の場所で、古楽音楽祭でも知られています)にあるフレーデンブルフ音楽センターのメイン・ホールで行われるコンサートのライヴという形で行われていました(一部アムステルダム・コンセルトヘボウなども使用)。ここは客席1700を擁する珍しい正八角形のホールで、綿密なリハーサルを重ねた上でツアーを行い、ツアーで繰り返し演奏して演奏内容を深めたところで、理想的な音響を誇る会場で録音するという流れが取られていました(この建物全体は2014年に全面的に建て替えられ、「ティヴォリ・フレーデンブルフ」と改称されたものの大ホールは現在でも旧音楽センターのメイン・ホールをそのまま継承しています)。初期の録音のプロデュースを担っていたのは、60年代から独EMIのプロデューサーとして活躍し、70年代から80年代にかけてはREFLEXEレーベルでピリオド楽器演奏による画期的名盤を次々に世に送り出し、ピリオド楽器演奏のムーヴメントを世界的なものにした立役者の一人、ゲルト・ベルクで、18世紀オーケストラのマネージャーであるシューヴェルト・フェルスターもレパートリーの選択や編集の面で録音に深く関わり、ベルクの後任としてプロデューサーも兼ねるようになります。オーケストラ全体のサウンドを、豊かで自然なホールの響きと共に捉えながら、オーケストラの各パート(特に木管、トランペット、ティンパニ)の個性的なソノリティを埋もれさせない録音は、ブリュッヘンが作品に加えた緻密な彫琢を味わうのにうってつけです。もともとがデジタル録音であり発売以来特にリマスターが施されたことはなかったため、今回は初めてのDSDリマスタリングとなります。今回のSuper Audio CDハイブリッド化に当たっては、これまで同様、使用するマスターテープの選定から、最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。特にDSDマスタリングにあたっては、DAコンバーターとルビジウムクロックジェネレーターとに、入念に調整されたESOTERICの最高級機材を投入、またMEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、オリジナル・マスターの持つ情報を余すところなくディスク化することができました。
 
■「歴史を満足させるだけではなく、現代の尖鋭な解釈でもある」

「当初は「モラルとして18世紀の音楽だけ」を演奏するはずだった18世紀オーケストラが、19世紀にも足を踏み入れたのは「英雄まで」でベートーヴェンをうちどめにできない強い音楽的な欲求が、ブリュッヘンと楽員の両方にあったに違いない。記念すべきデビュー盤の第1交響曲から実に8年の歳月をかけて第9をもって完成した。進取の気質を備えたその第9を「新旧の楽器の混在」という形で表現したように、ブリュッヘンは9曲すべての来歴を尊重した演奏を行っている。しかも、たんに歴史を満足させるだけではなく、現代の尖鋭な解釈でもあるところが凄い。」
「長年にわたる古楽器演奏によって培われたブリュッヘンならではの作曲家ベートーヴェンの位置付けと、英雄交響曲に対する知的な解釈が、きわめて積極的なアプローチによって示されている。ひとりひとりのプレーヤーがブリュッヘンの意図を的確に理解し、自発性にとんだ演奏をしなやかにくりひろげるサウンドはとても新鮮であり、ブリュッヘンはそうした古楽器ならではの繊細に澄んだ響きと音色を伸びやかなスケールをもって生かしている。」
「ブリュッヘンの解釈の特徴はフレーズが明解なことで、一つ一つの動機や楽句が浮かび上がってくる。そのため全治の構造が明確になり、均整の取れた古典的な造型美が生まれ、一方でオリジナル楽器の音色と結びついて新鮮な効果をもたらし、現代楽器による大オーケストラでは弦に埋没してしまう管のパートが生きてくる。ブリュッヘンの姿勢は音楽に対して極めて真摯で、それがベートーヴェンの精神を自然な形で再現している。」
『ONTOMO MOOK クラシック名盤大全 交響曲編』1998年

「オリジナル楽器による演奏だが、内容は極めてロマンティックといえ、ブリュッヘンのカリスマ性で一貫された名演といえる。わかりやすく言うと、フルトヴェングラーがオリジナル楽器のオーケストラを振っているような演奏である。実に主観的で劇的な要素に満ち溢れ、強弱のはっきりした表現はバロック的ともいえるが、コンセプトはやはりロマンであろう。オールド・ワイン・ニュー・ボトル的な、新鮮な感動に誘われるのである。」
『クラシック不滅の名盤800』1997年盤

「第1番冒頭から音楽の構えが大きく、弦楽器のメリハリ、木管の魅惑、金管と打楽器のアクセントなど、音楽をたった今生まれたように息づかせていく。第4番、第7番、第8番の終楽章など、ライヴの1回性に賭け、夢中になって演奏する彼らの姿が目に見えるようだ。」
『クラシック不滅の名盤1000』2007年

「ブリュッヘンは楽譜の「ブラッシュアップ」と強靭な「鳴り」による表現の濃度を両立させ、かつ綿密なリハーサルで鍛え上げたライヴの1回性の熱気を底に封じ込めた。再録音の陰影も忘れ難いが、作曲者の成長と並走するかのようなこの全集の輝きは不滅である。」
『最新版 クラシック名盤大全 交響曲・管弦楽曲編[上]』2015年
 
収録曲 / 詳細
 
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)
交響曲 第1番 ハ長調 作品21
交響曲 第2番 ニ長調 作品36
交響曲 第3番 変ホ長調 作品55「英雄」
交響曲 第4番 変ロ長調 作品60
交響曲 第5番 ハ短調 作品67
交響曲 第6番 ヘ長調 作品68「田園」
交響曲 第7番 イ長調 作品92
交響曲 第8番 ヘ長調 作品93
交響曲 第9番 ニ短調 作品125「合唱」
序曲《エグモント》作品84(ゲーテの悲劇への音楽より)
序曲《コリオラン》作品62(コリンの悲劇に寄せて)

18世紀オーケストラ(オリジナル楽器使用)
指揮:フランス・ブリュッヘン
 
DISC 1
[1] 交響曲 第1番 ハ長調 作品21
第1楽章 アダージョ・モルトーーアレグロ・コン・ブリオ
[2] 第2楽章 アンダンテ・カンタービレ・コン・モート
[3] 第3楽章 メヌエット(アレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ)
[4] 第4楽章 フィナーレ(アダージョーアレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ)
[5] 交響曲 第2番 ニ長調 作品36
第1楽章 アダージョ・モルトーーアレグロ・コン・ブリオ
[6] 第2楽章 ラルゲット
[7] 第3楽章 スケルツォ(アレグロ)
[8] 第4楽章 アレグロ・モルト
[9] 序曲《エグモント》
作品84(ゲーテの悲劇への音楽より)
[10] 序曲《コリオラン》
作品62(コリンの悲劇に寄せて)
 
DISC 2
[1] 交響曲 第3番 変ホ長調 作品55「英雄」
第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ
[2] 第2楽章 葬送行進曲(アダージョ・アッサイ)
[3] 第3楽章 スケルツォ(アレグロ・ヴィヴァーチェ)
[4] 第4楽章 フィナーレ(アレグロ・モルト)
[5] 交響曲 第8番 ヘ長調 作品93
第1楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・コン・ブリオ
[6] 第2楽章 アレグレット・スケルツァンド
[7] 第3楽章 テンポ・ディ・メヌエット・エ・トリオ
[8] 第4楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ
 
DISC 3
[1] 交響曲 第4番 変ロ長調 作品60
第1楽章 アダージョーーアレグロ・ヴィヴァーチェ
[2] 第2楽章 アダージョ
[3] 第3楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ
[4] 第4楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ
[5] 交響曲 第6番 ヘ長調 作品68「田園」
第1楽章 田舎に着いたときの愉快な気分(アレグロ・マ・ノン・トロッポ)
[6] 第2楽章 小川のほとり(アンダンテ・モルト・モッソ)
[7] 第3楽章 田舎の人びとの楽しい集い(アレグロ)
[8] 第4楽章 雷とあらし(アレグロ)
[9] 第5楽章 牧歌。嵐のあとの喜びと感謝(アレグロ)
 
DISC 4
[1] 交響曲 第5番 ハ短調 作品67
第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ
[2] 第2楽章 アンダンテ・コン・モート
[3] 第3楽章 アレグロ
[4] 第4楽章 アレグロ
[5] 交響曲 第7番 イ長調 作品92
第1楽章 ポコ・ソステヌートーーアレグロ
[6] 第2楽章 アレグレット
[7] 第3楽章 プレストーアッサイ・メノ・プレスト
[8] 第4楽章 アレグロ・コン・ブリオ
 
DISC 5
リン・ドーソン(ソプラノ)、ヤート・ファン・ネス(アルト)、アンソニー・ロルフ・ジョンソン(テノール)、
アイケ・ヴルム・シュルテ(バリトン)、リスボン・グルベンキアン合唱団
 
[1] 交響曲 第9番 ニ短調 作品125「合唱」
第1楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ、ウン・ポーコ・ソステヌート
[2] 第2楽章 モルト・ヴィヴァーチェ
[3] 第3楽章 アダージョ・モルト・エ・カンタービレ
[4] 第4楽章 プレスト
[5] バリトン独唱「友よ、このような音ではない」
[6] アレグロ・アッサイ
[7] アラ・マルチア(アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ)
[8] アンダンテ・マエストーソーーアダージョ・ノン・トロッポ、マ・ディヴォート
[9] アレグロ・エネルジーコ、センプレ・ベン・マルカート
[10] アレグロ・マ・ノン・タント
 
詳細
録音 第1番:1984年/第2番:1988年6月
第3番:1987年11月26日〜28日/第4番:1990年6月
第5番:1991年11月/第6番:1990年12月
第7番:1988年11月/第8番:1989年11月
第9番:1992年11月
エグモント:1991年7月/コリオラン:1991年11月
ユトレヒト、フレーデンブルフ音楽センター(Muziekcentrum Vredenburg)
初出 第1番:4163292(1986年/モーツァルト第40番とのカップリング)
第2番:4223892(1989年/モーツァルト第39番とのカップリング)
第3番:4220522(1988年)
第4番・第6番:4329642(1992年)
第5番・エグモント・コリオラン:4340872(1992年)
第7番・第8番:4268462(1990年)
第9番:4381582(1993年)
全集:4421562(1994年)
日本盤初出 第1番:32DC359(1986年2月25日/モーツァルト第40番とのカップリング)
第2番:PCD8(1989年6月25日/モーツァルト第39番とのカップリング)
第3番:32CD861(1988年10月25日)
第4番・第6番:PHCP194(1992年1月25日)
第5番・エグモント・コリオラン:PHCP5044(1992年7月25日)
第7番・第8番:PHCP120(1990年11月25日)
第9番:PHCP5135(1993年4月25日)
全集:PHCP1367〜71(1993年11月26日)

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