セヴェランス・ホールに温かく響くオイストラフの美音を余すところなく捉えた名盤。
BRAHMS Violin Concerto OISTRAKH
[基本情報]
- 品番:ESLW-10006
- 仕様:アナログLP、180g重量盤
- レーベル:Warner Classics(旧EMI)
- 音源提供:株式会社ワーナーミュージック・ジャパン
- ジャンル:協奏曲
- 厚紙シングルA式ジャケット
- 180g重量盤
ヴァイオリン演奏史に大きな足跡を残した名手オイストラフ
20世紀を代表するヴァイオリニスト、ダヴィッド・オイストラフ(1908〜1974)は、その豊潤な音色と安定した優れたテクニックとで知られ、ヴァイオリン演奏史に大きな足跡を残した名手。がっしりとした体躯から生み出される音楽は、ひたすらに作品の内実を紡ぎだすことに向けられた視点によるもので、いわばオイストラフを通じて、作品の魅力が輝きだすような演奏を成し遂げたのでした。モスクワ音楽院教授として若手の指導にも積極的に取り組み、彼の影響力を受けたヴァイオリニストは数知れません。
オイストラフ最晩年のブラームス
オイストラフはまた、生涯に膨大な録音を残しており、1940年代から1972年に亡くなる直前まで続けられた録音活動から生まれた名盤の多くは21世紀を迎えた今も聴き継がれています。ソ連のアーティストであったため、その多くはソ連の国営レコード会社メロディアに残されていますが、それにとどまらず、当時の西側のメジャーであるドイツ・グラモフォン、フィリップス、デッカ、コロンビア、RCAなどにも録音があります。オイストラフが最も多く録音を残した西側のレコード会社はEMIで、1950年代から1970年代まで協奏曲・室内楽・ソロとさまざまなレパートリーを録音しています。1969年に録音されたこのブラームスのヴァイオリン協奏曲は、やはり同じ年に録音されたブラームスの二重協奏曲やベートーヴェンの三重協奏曲と並んで、オイストラフ晩年の演奏の神々しいまでの輝きを刻印した名盤として発売当初から高い評価を得てきました。オイストラフは、ブラームスのヴァイオリン協奏曲を、この1969年録音以前に3種類(モノラル時代のコンドラシン指揮モスクワ・フィルのメロディア盤、1954年の コンヴィチュニー指揮ドレスデン国立管とのDG盤、1960年のクレンペラー指揮フランス国立管とのEMI盤)残しており、その作品への愛着がうかがえます。録音当時61歳のオイストラフですが、技巧の衰えなど微塵もなく、艶のあるソノリティ豊かなサウンドを聴かせてくれます。カデンツァはヨアヒム作のものを使用。
緻密なセル/クリーヴランドのバックアップ
この録音でもう一つ特筆すべきは、ハンガリー出身の巨匠ジョージ・セル(1897〜1970)が指揮するクリーヴランド管弦楽団による緻密なオーケストラ・パートの再現とソリストへの丁寧なバックアップぶりです。セルは、1946年から1970年まで四半世紀にわたってクリーヴランド管弦楽団の音楽監督を務め、同団に黄金時代をもたらしましたが、100人からなるオーケストラの各パートの音色やバランスを統一することで、まさに一つの楽器のように緻密に鳴らすことのできた指揮者でした。ここでも、弾力のあるパルスの上で、ブラームスのオーケストレーションの妙を一つ一つひも解いてくれるような丁寧で緻密な音楽づくりを行っており、オイストラフの独奏を盛りたてています。
現在考えられ得る最高の状態でアナログLPに
今回のアナログレコード制作にあたっては、オリジナルマスターより、新たにアナログレコード専用のマスタリングを行いました。マスタリングにあたっては、新たに構築した「Esoteric Mastering」を使用、入念に調整されたESOTERICの最高級機材Master Sound Discrete DACとMaster Sound Discrete Clockを投入。またMEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、徹底して高音質化を目指したマスターを作成しました。
アナログ・カッティングは、ミキサーズラボ社にて、アナログ最盛期の名機、ノイマン社製カッティング・レースVMS80を使用しました。同機はアナログレコード最盛期に西ドイツで製造され、現在日本国内では2台しか稼働していません。アナログ・カッティング用マスターの送り出しには、「Esoteric Mastering」の機材を使用。ミキサーズラボ社のご協力を得て、カッティングルームに「Esoteric Mastering」の機材を持ち込み、出力をノイマン社製カッティング・コンソールSP79Cにダイレクトに接続。コンソールのイコライザーを使わずに、「Esoteric Mastering」サウンドをそのまま、カッティング工程へ送り込みます。カッティングは、ミキサーズラボ社のカッティング・エンジニア 北村勝敏氏。匠の手腕をマスター盤に注ぎ込んで頂きました。
「この協奏曲のもっともオーソドックスな表現」
「オイストラフは、ふっくらとした、そしてまろやかな音色の持ち主である。このブラームスのヴァイオリン協奏曲は、そのような音色のヴァイオリニストによって演奏されるとその美しさが最も無理なく示される。しかも、ここでは、セルによって指揮されたクリーヴランド管が筋肉質の音楽をもたらしているので、両者の協奏の緊張が程よく明らかになっている。この協奏曲のもっともオーソドックスな表現をここできけるといっても、おそらくいいすぎにはなるまい。」
黒田恭一『レコード芸術別冊・クラシック・レコード・ブックVOL.3 協奏曲編』1985年
「オイストラフ全4回の同曲録音中最後のものであり、これに9年ほど先立つクレンペラーとの共演盤に優るとも劣らぬ見事な出来栄えを示す。指揮者との息の合い方、曲全体のまとまり、音楽構築の隙のなさなどを考え合わせると、やはり当盤が一層充実した仕上がりのように思える。ここでのオイストラフの円熟は驚くべきもので、くだんの艶やかな美音とおおらかな曲把握が、まさに豊饒きわまりないブラームスの世界を生み出している。セルのサポートも完全無欠に近く、すこぶる高い凝集力と精緻さによってオイストラフのソロを完璧に支えている。」
宮崎滋『クラシック不滅の名盤1000』2007年
[収録曲]
ヨハネス・ブラームス(1833-1897)
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
[Side A] |
第1部 |
[1] |
第1楽章 Allegro non troppo |
[Side B] |
[1] |
第2楽章 Adagio |
[2] |
第3楽章 Allegro giocoso, ma non troppo vivace |
ダヴィッド・オイストラフ(ヴァイオリン)
クリーヴランド管弦楽団
指揮:ジョージ・セル
[録音]
録音 |
1969年5月、クリーヴランド、セヴェランス・ホール |
LP初出 |
Angel SFO 36033(1970年) |
日本盤LP初出 |
AA8770(1971年3月発売) |
オリジナル・プロデューサー |
ピーター・アンドリー |
オリジナル・レコーディング・エンジニア |
カーソン・テイラー |
[アナログレコード]
プロデューサー |
大間知基彰(エソテリック株式会社) |
アソシエイト・プロデューサー |
吉田譲(エソテリック株式会社) |
リマスタリング・エンジニア |
東野真哉(エソテリック株式会社) |
リマスター |
2023年12月 エソテリック・マスタリング・センター、「Esoteric Mastering」システム |
アナログレコード・カッティング |
北村勝敏(株式会社ミキサーズラボ) |
解説 |
浅里公三 |
企画・販売 |
エソテリック株式会社 |
企画・協力 |
東京電化株式会社 |
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