オーディオ逸品館.JP ESOTERIC - ESSW-90293(SACDソフト シューベルト:ピアノ五重奏曲 イ長調 《ます》 幻想曲 ハ長調 《さすらい人》)《JP》【在庫有り即納】
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ESOTERIC - ESSW-90293(SACDソフト シューベルト:ピアノ五重奏曲 イ長調 《ます》 幻想曲 ハ長調 《さすらい人》)《JP》【在庫有り即納】

商品コード : ESSW-90293
製造元 : ESOTERIC
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ESOTERIC 名盤復刻シリーズ紹介リンク

20世紀ピアノ演奏史にそびえたつ巨匠リヒテルのシューベルトの名演を2曲カップリング。

エソテリックによる名盤復刻シリーズ SACDハイブリッドソフト

ティアック株式会社(本社:東京都多摩市、代表取締役社長:英 裕治)は、エソテリックによる名盤復刻シリーズとして Super Audio CDハイブリッド・ソフト 3作品「ホルスト:組曲《惑星》グリーグ:組曲《ペール・ギュント》から」「ハープ協奏曲&変奏曲集」、および「シューベルト:ピアノ五重奏曲 イ長調 《ます》幻想曲 ハ長調 《さすらい人》」を販売開始致します。

20世紀最大の巨匠、スヴャトスラフ・リヒテル

20世紀ピアノ界の巨人的存在、旧ソ連の名ピアニスト、スヴャトスラフ・リヒテル(1915-1987)。バッハから同時代音楽を網羅する膨大なレパートリーを持ち、生涯にわたって尽きることのないエネルギーで精力的に演奏活動を行い、個性的かつ巨大な演奏解釈を披露し続けました。録音には無頓着ながらも、旧ソ連の国有会社メロディアや共産圏のレーベルだけでなく、当時の西側のほぼすべてのメジャー・レーベルに多数の録音を残しており、生前からも発売されていた演奏会のライヴ録音を合わせると、録音ソフトの発売点数は他のどのピアニストよりも多いのではないかと思われるほどで、その意味でも破格の存在といえるでしょう。当シリーズでもドイツ・グラモフォンとEMIに録音された協奏曲の名盤2枚をリマスターして参りましたが、今回はEMI録音によるシューベルトの名作2曲をカップリングしたアルバムをリリースいたします。

鉄のカーテンに遮られた「幻のピアニスト」から「現代最高の巨匠」へ

第2次大戦後の東西分裂によって旧ソ連と西側との間の政治的・文化的交流が分断された結果、リヒテルが旧ソ連国外で演奏できるようになったのは彼が30代半ばになった1950年までずれ込んでしまいました。それ以後チェコ、ポーランド、ハンガリーなど東側の共産圏には時折登場するようになりましたが、西側には共産圏のレーベルのライセンスなどで発売されるレコードや、評判が伝えられるのみでその実態がなかなか把握されず「幻のピアニスト」とされていました。そうした中で、1956年にはドイツ・グラモフォンが西側のどのレコード会社にも先駆けてプラハでリヒテルのソロ録音(シューマンの「森の情景」ほか)の収録を実現させ、さらに1958年から59年にかけては、ワルシャワで協奏曲も含むステレオLP3枚分の録音を行ないました。また1958年2月のソフィアでのライヴがフィリップスによって録音され、これらの録音が西側で広く発売されるにつれて、リヒテルは「現代最高の巨匠ピアニスト」と位置づけられるようになり、さらに1960年後半のアメリカ・デビューと全米ツアーの実現によって、その名声は頂点に達したのでした。

5回続けざまに弾いた1963年の「さすらい人幻想曲」

リヒテルのレコード発売についてはグラモフォンとフィリップスの後塵を拝したEMIは、1960年5月にヘルシンキで行われたリサイタルの際にフランスEMIのA&R部門で働いていたジャック・ライサーを通じてリヒテルに接触して録音の快諾を得、翌1961年8月、リヒテルのロンドン・デビューに合わせてアビーロード・スタジオで録音セッションを設けて、ベートーヴェンの「テンペスト」とシューマンの幻想曲を録音。さらに翌62年秋の初のイタリア・ツアーではグラモフォンと共同して各地でライヴ録音を敢行し、その中からシューマンのピアノ・ソナタ第2番と「ウィーンの謝肉祭の道化」を発売しています。そして翌63年前半の西側のツアーのプログラムにフィーチュアされていたシューベルトの「さすらい人幻想曲」を、2月と5月にパリで収録し、同時に収録されたピアノ・ソナタ第13番と合わせてEMIとしては3枚目のアルバムを発売したのです。初出盤のライナーノーツによると、食事で中断されたくないというリヒテルの意向で、セッションは連日長い夕食の後、午後9時から翌朝の3時まで行われました。またほとんどの場合、リヒテルが細かなインサートやリテイクを嫌ったため、楽章単位の長いテイクで収録され、演奏者が満足するまで何度もリテイクが行われています(リヒテルの盟友だった指揮者のルドルフ・バルシャイが見学に訪れた日もあったそうです)。またライサーの回想によると、最初のセッションの時にリヒテルはひどい風邪をひいていたためセッションは難儀し、そのセッションで録音したテイクから別のプロデューサーによって細かく編集されたマスターをライサーが聴き、到底リヒテルのものとは思えない出来だったため、正直にその旨をリヒテルに伝えたところ、リヒテルは自分でマスターを試聴することなく再録音することを決意。当時はフランスにはステレオ機材がなかったため、機材がロンドンから届くのを待ってリヒテルは再度パリに赴き、そこで「さすらい人」全曲を続けざまに5回弾いて満足した、という裏話を伝えています。いずれにせよ発売されたレコードはフランスのディスク・グランプリ賞を獲得するなど、高く評価されました。「さすらい人幻想曲」はリヒテルが演奏家として最初期の1938年から弾き始めた愛奏曲で、生涯に58回取り上げています。この63年盤は作品の持つエネルギッシュな前進性をクローズアップし、特に第4楽章コーダのフーガ風の部分の強靭なまでのピアニズムはこの時代のリヒテルならではの力感を伝えています。また歌曲「さすらい人」の旋律が使われた第2楽章で沈潜していく悲痛な感傷も、他にないほどの深みをたたえています。

1980年のシューベルティアーデで収録されたリヒテル唯一の「ます」

一方、シューベルトのピアノ五重奏曲「ます」は、「さすらい人幻想曲」の17年後の1980年6月、オーストリアのホーエネムス(ホーエンエムスとも)で開催されたシューベルティアーデ音楽祭で収録されました。この音楽祭はその名の通りシューベルトの作品の演奏を目的に1976年に歌手のヘルマン・プライらによって創設され、シューベルト作品に定評のあったリヒテルは1977年に同音楽祭に初出演し、1979年と1980年にも出演しています。1980年のリヒテルは1月にモスクワでリサイタルを2回開催したあとしばらく休養し、5月下旬から活動を再開、「ます」についてはモスクワで2回、キーウで2回演奏してから、シューベルティアーデ音楽祭に臨みました。共演は1944年に創設され20世紀ソ連を代表する名カルテットとして、この時期以降リヒテルとも多数の共演を重ねることになるボロディン四重奏団のメンバー3人とコントラバス奏者としてドイツを代表する存在だったゲオルク・ヘルトナーゲル(1927-2020)。通常のピアノ五重奏曲とは異なり、ヴァイオリン2部の代わりにコントラバス、そしてピアノという特異な編成で、ピアノと弦楽パートの対比が顕著なこの作品にあっては、力強く雄渾なリヒテルのピアノ、ボロディンSQが得意とする堅固な構成感の表出が大きな役割を果たしています。年上のリヒテルの精神の燃焼が世代の若い弦楽奏者を刺激し、5人の演奏者の間での実に緊密な音楽の対話が実現し、それがシューベルトの室内楽の本質と不可分であることを聞きとることができます。特に有名な第4楽章の歌曲「ます」の主題による変奏曲は、各変奏が見事に彫琢され、それぞれの性格が実に明確に弾き分けられています。リヒテルがこの作品を弾いたのは生涯で7回のみであるため、その最後の演奏が鮮明な録音として後世に残されたのは幸運なことでした。

演奏の生々しさをそのまま捉えた「ます」

1963年の「さすらい人」が録音されたパリのサル・ワグラムは、この時代のパリのセッション録音ではメゾン・ド・ミュチュアリテと並び多用されたホール。オーケストラ向きの大きなキャパシティの会場であるにもかかわらず、当時フランスEMI(VSM)のメイン・エンジニアでクリュイタンスやフランソワなど多くの録音を手掛けたポール・ヴァヴァスールはリヒテルの演奏が持つppからffまでの幅広いダイナミック・レンジを余すところなく捉えています。強奏のパッセージでも響きが濁ることなく、リヒテルの圧倒的なまでの緻密な指さばきが実に明瞭に聴きとれるという点で、リヒテルの数多いスタジオ録音の中でも最高の条件のレコーディングといえましょう。「ます」も「さすらい人」も発売当初から高く評価されたためカタログから消えることはなく、デジタル録音だった「ます」はLP発売の1年後にCDで発売され、「さすらい人」もCD初期の1987年にCD化されています。両曲とも1996年には海外ではARTシステムで新規リマスターが行われる一方で、「ます」は日本のHS2088システムでもリマスターされるなど、技術の進歩に応じて最適の器に盛り込まれてきました。それでもSuper Audio CDハイブリッドでの発売と、それを意図したリマスターは今回が初めてとなります。

これまで同様、使用するマスターの選定から、最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業をおこないました。特にDSDマスタリングにあたっては、「Esoteric Mastering」を使用。 入念に調整されたESOTERICの最高級機材Master Sound Discrete DACとMaster Sound Discrete Clockを投入。またMEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、オリジナル・マスターの持つ情報を伸びやかなサウンドでディスク化することができました。

「リヒテルがこの作品に前例のないほど堂々たる内容を与えている」「リヒテルが真骨頂を発揮」
ピアノ五重奏曲「ます」 「テンポの変化が極めて多く、それに適切に応じた表情を持ち、さらに音楽全体がごく自然によく歌っており、品の良いロマン性を打ち出した演奏だ。リヒテルのピアノが絶妙の冴えを見せている。音にムラがなく、磨き抜かれて輝いており、音楽に躍動感と抒情をもたらしている。弦もつややかな音でしっかりアンサンブルを組み、ヴァイオリンと中音弦や低弦とのひそやかな対話も微笑みを誘う。」「ピアノ主導型の協奏曲風の演奏で、リヒテルがこの作品に前例のないほど堂々たる内容を与えている。『ます』の主題の楽章にしても、変奏曲ごとの性格の描き分けに他の追従を許さないうまみが発揮されている。コントラバスを底辺とした弦がリヒテルの表情豊かで切り込みの深い演奏をがっちりと受け止めている。」
『レコード芸術』1981年12月号 特選盤
「清冽でみずみずしく、しかも風格あるスケールの大きな表現で紡ぎ出された素晴らしい演奏で、ことにリヒテルのピアノの美音は印象深い。ライヴならではの緊迫感も快く、シューベルトの音楽の最も美しい資質を聴く楽しみを、満喫させてくれる。」
『クラシック不滅の名盤800』1997年
「それほど単純に言えることではないが、『ます』の五重奏曲の演奏で、やはり第一にその成否を左右するのがピアニストであることは事実であろう。リヒテルとボロディン四重奏団による1980年のライヴがつねに名盤の一つとして挙げられるのは当然の結果であったかもしれない。ともかくピアノの美しさが必要なだけ際立っているのは確かであるし、品位と風格がインティメートな結びつきの中にもある。」
クラシック名盤大全・室内楽曲編』1998年
「これを聴くと、やはりどんな場合も巨匠は巨匠らしい結果を出すものだとつくづく感心させられてしまう。さすがにこれは、細部にこだわり過ぎず、和気藹々たるアンサンブルで親密な語り愛を楽しむという演奏スタイルではない。ピアノ・パートの妥協のない完成度は抜群だし、コントラバスのヘルトナーゲルを含めて弦部の仕上がりもすこぶる緊密だ。だが決して音楽は強面ではない。音色はあくまで美しく、奏者たちの柔らかな対話も随所に聴ける。」
『最新版クラシック不滅の名盤1000』2018年 さすらい人 「滑り出しからその恐ろしい迫力に圧倒される『さすらい人』は、全曲が強い緊張に満ちて息つく間もないほど。アダージョの色合いの深さも比類ない。」
『クラシックレコードブック1000・編』1980年 「リヒテル壮年期の名盤の一つ。『さすらい人』幻想曲は、彼らしい重量感に満ちた力強さによって、大きなスケールの広がりを出しつつ、この作品の持つ独特の構築性を浮かび上がらせた雄弁な演奏。スタジオ録音だと時に感興を欠く演奏をすることもあるリヒテルだが、この演奏はスタジオ録音であることが特にプラスに作用したものの一つで、ライヴでは失われがちな腰の据わった落ち着きが、確かな造形性とロマン的な情緒との理想的に結びついた演奏を生み出している。」
『クラシック名盤大全・室内楽曲編』1998年 「幻想曲『さすらい人』は、リヒテルが真骨頂を発揮した作品。圧巻は彼がベートーヴェンで見せるのと同じエネルギーの激しい放出。しかし一方では、抒情詩人シューベルトの本質を捉えて離さない。表現の幅の広さに驚くのみ。」
『クラシック不滅の名盤1000』2007年 「西側で積極的にレコーディングを始めた時期のリヒテルは、強靭なピアニズムで聴衆を唸らせたが、当盤所収の幻想曲『さすらい人』は、実にスケールの大きな名演だ。そしてこの作品が具えている技巧的な側面を、悠々と満たすだけで終わらずに、シューベルト特有の傷つきやすい心情を巧みに表出しながら、穏やかな音楽においては思索的な深さをも感じ取ることができる。華やかなパッセージの箇所でも浮つくことがない点も印象的である。」
『最新版クラシック不滅の名盤1000』2018年
[収録曲]

◇フランツ・シューベルト(1797-1828)

ピアノ五重奏曲 イ長調 D667(作品114)《ます》
[1] 第1楽章: Allegro vivace
[2] 第2楽章: Andante
[3] 第3楽章: Scherzo(Presto)
[4] 第4楽章: Thema mit Variationen(Andantino)
[5] 第5楽章: Finale(Allegro giusto)
幻想曲 ハ長調 D760 (作品15) 《さすらい人》
[1] 第1楽章:Allegro con fuoco ma non troppo
[2] 第2楽章:Adagio
[3] 第3楽章:Presto
[4] 第4楽章:Allegro
[詳細]

ピアノ:スヴャトスラフ・リヒテル
ボロディン四重奏団員
コントラバス:ゲオルク・ヘルトナーゲル

録音 [1-5]1980年6月18日、オーストリア、ホーエネムス城、リッターザール(デジタル・レコーディング)
[6-9]1963年2月11日〜13日・16日・18日、5月11日〜12日、パリ、サル・ワグラム
初出 [1-5]ASD 4032(1981年)
[6-9]ASD 561(1963年)
日本盤初出 [1-5]EAC90052(1981年10月21日)
[6-9]AA7070(1964年4月)
オリジナル・レコーディング [レコーディング・プロデューサー]
 [1-5]ジョン・モードラー
 [6-9]ピーター・アンドリーン
[バランス・エンジニア]
 [1-5]ヨハン=ニコラス・マッテス
 [6-9]ポール・ヴァヴァスール

※製品の仕様、外観などは予告なく変更されることがありますので、予めご了承ください。

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