Mitsuko Uchida – Mozart Live in Concert
モーツァルト・イヤーに日本で響いた内田光子のライヴでの輝き
エソテリックによる名盤復刻シリーズ SACDハイブリッドソフト
ESOTERIC(エソテリック)は、エソテリックによる名盤復刻シリーズとして Super Audio CDハイブリッド・ソフト 3作品「ブラームス ピアノ協奏曲 第1番・第2番」「ビゼー 《カルメン》組曲、《アルルの女》組曲 グノー 《ファウスト》から バレエ音楽、ワルツ」、および「ラヴェル ボレロ、バレエ《マ・メール・ロワ》スペイン狂詩曲、海原の小舟、道化師の朝の歌」を販売開始致します。
モーツァルト・プロジェクトが生んだ「世界のUchida」
1948年熱海生まれの内田光子は、1961年12歳の時に渡欧し、ウィーン音楽院で学んでいます。1966年のミュンヘン国際第3位、1968年のエリザベート王妃第10位、1969年のウィーン・ベートーヴェン国際第1位、1970年のショパン国際第2位と着実にコンクール入賞歴を重ね、1971年、ウィグモア・ホールで演奏会を開きロンドン・デビュー。1972年には拠点をロンドンに移し、ヨーロッパを中心に活動しますが、なかなか評価につながらず、レコード録音も日本国内で細々と続けるのみ…という状態でした。転機は1982年、ウィグモア・ホールにおけるモーツァルトのピアノ・ソナタ連続演奏会で、その新鮮な解釈はロンドンの批評家から絶賛を浴び、さらに1984年にはイギリス室内管弦楽団を自ら指揮して同じくモーツァルトのピアノ協奏曲全曲演奏会を実現させ、その評価をゆるぎないものとしたのです。内田に注目したフィリップス・レーベルは1983年10月からピアノ・ソナタの全曲録音を開始。1985年2月にソナタが完結するや間髪を入れず同年10月からピアノ協奏曲全集の録音に乗り出し、1990年2月に収録を完了しています。録音面での成功と軌を一つにするかのように、内田は欧米での演奏活動を軌道に乗せ、1984年には小澤征爾指揮ベルリン・フィル定期にデビュー、それ以降、欧米のメジャー・オケの定期、ザルツブルク、プロムス、ルツェルンなどの世界的音楽祭からの招聘が相次ぎました。そうした過程で、モーツァルト作品は「世界のUchida」のトレードマークとなったのでした。極めて感性的でありながらも、単にひらめきや感情に身を任せず、緻密な音楽的思考をもとに演奏を創り出していく内田のスタイルは実に新鮮で、世界の聴衆を魅了したのです。
1991年のモーツァルト・イヤーに評価を高めた空前の演奏
モーツァルト没後200年のメモリアル・イヤーとなった1991年、世界各地でモーツァルト作品が演奏される中で、ソナタと協奏曲の録音を終えたばかりの内田光子も、ニューヨークのリンカーン・センターで5夜にわたるピアノ・ソナタ・チクルスを任されるなど、世界の檜舞台でそのモーツァルト解釈を披露し、ピアニストとしての評価をさらに一段と高めることになりました。内田はその年の5月に来日し、日本でも、東京のサントリーホールと大阪のザ・シンフォニーホールで、モーツァルト作品ばかりで構成された演奏会を開催しています。サントリーホールでは3回の公演が行われ、初日(5月10日)がソナタ第10番・第8番・第12番、幻想曲ニ短調とソナタ第17番という組みわせ、2日目(5月12日)は、ソナタ第5番・第18番、「メッカの巡礼」による変奏曲、ロンドイ短調、ソナタ第17番、3日目(5月17日)がソナタ第15番・幻想曲ハ短調、ソナタ第14番、「メッカの巡礼」による変奏曲、ソナタ第18番というもので、モーツァルト作品を知り尽くした内田が練りに練った組み合わせでした。DISC1、DISC2ともに担当の幻想曲で開始され、ソナタが2曲ずつとピアノ曲が2曲ずつ含まれている構成になっており、コントラストのある聴きごたえのある組み合わせでした。これらサントリーホールの3日間とその間に開催されたザ・シンフォニーホールでの公演は全て当時のオランダ・フィリップスによってライヴ収録され、その中からソナタ4曲とピアノ作品5曲を選びCD2枚にまとめたのが当ディスクで、日本では世界に先駆けて同年末に発売されました。
ライヴを敢行した内田の気概さえも聴きとれる
内田は過去の演奏家の録音を愛聴していることでも知られ、録音という行為をひときわ大切にし、自分の録音は基本的にセッションで行い、テイクを重ねて緻密に築き上げていくことを原則にしています。その内田が、モーツァルト・イヤーとはいえ、敢えて自分のリサイタルのライヴ録音に踏み切ったのはよほどのこと。この2枚組のアルバムには、その確信と自信とが隅々にまで浸透しており、1980年代のセッション録音とは異なる、一瞬一瞬で移ろいゆくライヴならではの感情の動きが克明に記録されることになりました。各曲はリサイタルとは異なる順序で並べていますが、それぞれの曲の特質と曲毎のコントラストとが入念に考え抜かれていることがよくわかります。内田は、サントリーホールについて後年のインタビューで「特に好きなホール。自分にとって3つの一つに入る。何よりも音がよい」と絶賛しており、このライヴにはそうした内田の思いさえ刻みこまれているかのようです。
オランダ・フィリップスの名コンビが来日して収録を担当
録音に当たっては、当時フィリップスのチーフ・プロデューサーで、エリック・スミスの後任として内田光子を担当したヴィルヘルム・ヘルヴェークと名エンジニア、オノ・スコルツェがわざわざ来日し、日本側からは現在エヌ・アンド・エフ・レーベルでバランス・エンジニアをつとめる名手福井末憲が当たって万全を期しています。ホールの雰囲気ある響きを生かしながらも、響きが過剰にならず、内田の繊細なタッチと響きの移ろいを余すところなく捉えています。発売当初から名録音として定評があったこともあり、本格的なリマスターは今回が初めてです。これまで同様、使用するマスターの選定から、最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業をおこないました。特にDSDマスタリングにあたっては、「Esoteric Mastering」を使用。 入念に調整されたESOTERICの最高級機材Master Sound Discrete DACとMaster Sound Discrete Clockを投入。またMEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、オリジナル・マスターの持つ情報を伸びやかなサウンドでディスク化することができました。
「モーツァルトをピアノで弾いたものとしては、ゼルキン以来の深い感銘」
「(私の内田光子への疑問を)完全に払拭してくれたのが、モーツァルト没後200年の時に大阪で聴いた二夜のモーツァルト・プログラムだった。それは音楽的にも精神的にも、また技術的にも心の底から称賛に値する素晴らしいもので、モーツァルトをピアノで弾いたものとしては、ゼルキン以来の深い感銘を得た。このアルバムはその時の演奏の一部が収められたアルバムなのである。」
『クラシック名盤大全・器楽曲編』1999年
[収録曲]
◇ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)
[DISC 1] |
幻想曲 ハ短調 K.475 |
[1] |
Adagio - Allegro - Andantino – Più allegro -Tempo I |
ピアノ・ソナタ 第14番 ハ短調 K.457 |
[2] |
第1楽章: Molto allegro |
[3] |
第2楽章: Adagio |
[4] |
第3楽章: Allegro assai |
ロンド イ短調 K.511 |
[5] |
「マーリオ!マーリオ!」–「緑の中にすっぽりと隠れて」〔二人の愛の家〕(トスカ、カヴァラドッシ) |
ピアノ・ソナタ 第18番 ヘ長調 K.533/494 |
[6] |
第1楽章: Allegro, K.533 |
[7] |
第2楽章: Andante, K.533 |
[8] |
第3楽章: Rondo (Allegretto), K.494 |
[DISC 2] |
幻想曲 ニ短調 K.397 |
[1] |
Andante - Adagio – Presto – Tempo I – Allegretto |
変奏曲 ト長調 K.455 |
[2] |
グルックの《メッカの巡礼》の〈おろかな民が思うには〉による10の変奏曲 ト長調 K.455 |
ピアノ・ソナタ 第15番 ハ長調 K.545 |
[3] |
第1楽章: Allegro |
[4] |
第2楽章: Andante |
[5] |
第3楽章: Rondo |
ピアノ・ソナタ 第17番 ニ長調 K.576 |
[6] |
第1楽章: Allegro |
[7] |
第2楽章: Adagio |
[8] |
第3楽章: Allegretto |
アダージョ ロ短調 K.540 |
[9] |
Adagio in B minor K.540 |
[詳細]
内田光子(ピアノ)
録音 |
1991年5月12日〜17日、大阪、ザ・シンフォニーホール、および 東京、サントリーホール |
初出 |
[日本盤初出]フィリップス PHCP 1055〜56(1991年12月)
[海外盤初出]Philips – 432 989-2(1992年) |
オリジナル・レコーディング |
[アーティスト/レパートリー・プロダクション]イヴ・エドワーズ
[レコーディング・プロデューサー]ヴィルヘルム・ヘルヴェーグ
[バランス・エンジニア]オノ・スコルツェ
[レコーディング・エンジニア]福井末憲
[テープエディター]ティアード・フィーヘル、ゴーシア・ヤンコフスカ |
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