アナログ時代のガーシュウィン・アルバムの定番が、オリジナル・マスターからリフレッシュ
エソテリックによる名盤復刻シリーズ SACDハイブリッドソフト
ESOTERIC(エソテリック)は、エソテリックによる名盤復刻シリーズとして Super Audio CDハイブリッド・ソフト 3作品「ブラームス ピアノ協奏曲 第1番・第2番」「ビゼー 《カルメン》組曲、《アルルの女》組曲 グノー 《ファウスト》から バレエ音楽、ワルツ」、および「ラヴェル ボレロ、バレエ《マ・メール・ロワ》スペイン狂詩曲、海原の小舟、道化師の朝の歌」を販売開始致します。
エソテリックによる名盤復刻シリーズ SACDハイブリッドソフト
プレヴィンがジャズピアニストとしてのプロファイルがより強かった頃から得意としていたレパートリーを、録音スタジオのアイコンともいえるロンドン、アビー・ロード・スタジオで収録。アナログ時代からカタログから消えることのないエヴァーグリーンな定番を世界初Super Audio CDハイブリッドディスク化。
偉大なマルチ・ミュージシャン、アンドレ・プレヴィン
「私は、作曲家だけ、指揮者だけ、あるいはピアニストだけという人生には抵抗を感じると思う。しかし、音楽家であることが誇りであり、そして幸せだ。この世で最高の職業であり、そうであれることに格別感謝している」と自ら語るように、指揮者、ピアニスト、作曲家と多彩な顔を持ち、アカデミー賞を4回、グラミー賞を10回受賞するなど、20世紀が生み出した最も多彩かつ偉大な音楽家、サー・アンドレ・プレヴィン(1929-2019)。ベルリンに生まれ、大戦勃発前にロサンジェルスに移住したプレヴィンは、高校生の頃からサイレント映画の伴奏やMGMでのオーケストレーターの仕事を始め、その早熟の才能を一気に開花させます。第2次大戦後は、マルチ・ミュージシャンとしての活動を本格化させ、2019年に亡くなるまで緩むことなく音楽家として歩み続けました。
クラシックのメインストリーム指揮者へ
ピエール・モントゥーに指揮を学んだプレヴィンがクラシック指揮者としてのデビューを果たすのは、1962年にセントルイス交響楽団の指揮台に立った時のこと。それまでにはないフレッシュな感性を持ち、映画音楽で鍛え上げられたストーリーテラー的な音楽づくりの巧みさで聴き手の心を捉え、たちまち人気指揮者となりました。その後ロンドン交響楽団、ロイヤル・フィル、ロサンジェルス・フィル、ピッツバーグ交響楽団、NHK交響楽団などの名だたるオーケストラの常任を歴任したプレヴィンですが、コンサート活動と並行してレコーディングにも積極的に取り組み、その名声は加速度的に広がっていきました。指揮者としての録音に限っても、コロンビア、RCA、EMI、テラーク、ドイツ・グラモフォンなど、ワールドワイドのネットワークを持つほぼすべてのメジャー・レーベルに多数の名盤を残しています。中でもロンドン響首席指揮者時代に1970年代を通じてEMIに残した一連の録音は、レパートリーも多岐にわたり、アナログ時代最後期らしい芳醇なサウンドで世界中の音楽ファンを魅了したのです。
空前の人気を巻き起こしたロンドン響時代
プレヴィンはイシュトヴァン・ケルテスの後任として1968年にロンドン響の首席指揮者に就任、1979年まで在任しましたが、このロンドン響時代は指揮者としてのプレヴィンの最初の絶頂期となりました。オーケストラを上から統率するのではなく、仲間同士といった感覚で楽員たちと共に音楽に取り組むことに没頭する指揮者としての姿勢が音楽家・聴き手双方の間に深い共感を呼び、進取の意欲に富むシャープな切れ味の解釈は、従来の演奏スタイルを塗り替えていったのです。ロンドン響はもともとロンドンのオーケストラの中では最も機能性が高く底力のある団体でしたが、プレヴィン時代に洗練味とフレキシビリティに磨きがかかり、BBCではこのコンビを起用したTV番組を開始し、幅広い聴衆に伝播していったのです。プレヴィンはロンドン響とは首席就任前からRCAに録音を開始し、ヴォーン=ウィリアムズの交響曲全集など重要な名盤を残していましたが、ロンドン響との録音活動が本格化するのは1971年からのEMI時代でした。そして1971年5月、ラヴィ・シャンカールのシタール協奏曲という、当時としては思い切った選曲でEMIでの録音活動を始動させたプレヴィンが、EMIでの2作目に取り組んだのが「ラプソディ・イン・ブルー」「パリのアメリカ人」「ピアノ協奏曲へ長調」というガーシュウィンの名作3曲を収めたアルバムだったのです。しかも指揮者としてだけではなく、ピアニストとしての弾きぶりというプレヴィンならではの側面をクローズアップする意味合いもありました。
ピアニスト=プレヴィンの得意曲
ガーシュウィンはプレヴィンがジャズピアニストとしてのプロファイルがより強かった頃から得意としていたレパートリーで、指揮者としての活動を本格化させる以前の1960年にピアニストとして「ラプソディ・イン・ブルー」「ピアノ協奏曲へ長調」の2曲をコステラネッツ指揮で米コロンビアに録音しており、ステレオ初期の定番として広く聴かれるアルバムとなっていました。ロンドン響とのEMI録音はその11年後のことで、ピアノ・ソロの入る2曲に関しては2度目の録音となりました。プレヴィンのピアノは決してヴィルトゥオーゾ的なものではないですが、オーケストラとのバランスや呼吸感が絶妙で、ガーシュウィンの名旋律を優美に歌い上げています。ジャズっぽいリズムやノリがふんだんにあった1960年盤と比べると、1971年盤ではジャズ的な感覚は保ちつつも弾き飛ばさず、細部までより正確に音を当てていく印象が強く、いわばより「クラシカル」なピアノになっているのが特徴といえるでしょう。華やかなパリという町のイメージがそのまま音化されているような「パリのアメリカ人」では、各パートの描写力が見事で、特に中間部のブルース的なセクションでのノスタルジックな趣が実に見事に絵描き出されています。LPではA面の「ラプソディ・イン・ブルー」と「パリのアメリカ人」が約33分、B面の「ピアノ協奏曲へ長調」が約32分で、3曲のトータルが65分となり、アナログとしては長時間収録となっていましたが、この3曲をLP1枚に収めるというコンセプトは画期的で、発売後は − 984年にプレヴィン自身がピッツバーグ響と同じ曲目でCDを作った後でさえ − カタログから消えることのないエヴァーグリーンな定番となったのでした。
録音スタジオのアイコン、アビー・ロード・スタジオでの録音
録音は2日間のセッション。アビー・ロード・スタジオで行われました。ビートルズのアルバム名にもなり今や録音スタジオのアイコンともいえるスタジオですが、もともとは19世紀にジョージ王朝風建築のタウンハウスとして作られた建物で、1931年に録音スタジオに改装され、エルガー指揮ロンドン響の「希望と栄光の国」でオープニングを飾りました。3つのスタジオで構成され、オーケストラの録音が行われるのは最も広い第1スタジオで、大編成のオーケストラを収容できる余裕のある空間が確保されています。録音を手掛けたのはクリトファー・ビショップとクリストファー・パーカーで、1970年代のステレオ・アナログ時代のEMIのクラシック録音を牽引した名プロデューサー、エンジニアのコンビ。ホール録音と比較すると残響は多くなく、特に人工的なリバーブも加えられていないものの、ピアノ・ソロが中央に大きく位置し、「ラプソディ・イン・ブルー」の冒頭のクラリネットを始めとするオーケストラのソロが鮮明にクローズアップされる音作りはスタジオ収録ならではで、各パートの動きの面白さが明解に音化されています。クライマックスでは音像が2つのスピーカーいっぱいに広がり、密集したマッシヴなサウンドを体験することができるのも聴き所。アナログ時代の定番だったため、CD時代に入るとすぐに1984年にCD化され、1998年にはartシステムやHS-2088で新規にリマスターされ、リフレッシュされてきましたが、今回は久しぶりのリマスターかつ初のSuper Audio CD ハイブリッド化となります。これまで同様、使用するマスターの選定から、最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業をおこないました。特にDSDマスタリングにあたっては、「Esoteric Mastering」を使用。 入念に調整されたESOTERICの最高級機材Master Sound Discrete DACとMaster Sound Discrete Clockを投入。またMEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、オリジナル・マスターの持つ情報を伸びやかなサウンドでディスク化することができました。
「胸のすくようなタッチとリズム」「フィーリングも最高」
「『ラプソディ・イン・ブルー』がとても美しい。特に、プレヴィンのソロがいい。胸のすくようなタッチとリズムを持つ上に、フィーリングも最高で、ピアニッシモの美しさなど、どの録音よりも心に残る。これに比べオーケストラのほうは、プレヴィンの奮闘にもかかわらず、もう一つ英国紳士調から抜け出せないでいる。ピアノ協奏曲ではそのため響きが濁るが、プレヴィンのソロはじっくり構えた腰の強い名演だ。」
『レコード芸術』1970年7月号
「ロンドン交響楽団首席指揮者時代の演奏で、『パリのアメリカ人』が抜群の良さを示している。『ラプソディ・イン・ブルー』はオスカー・レヴァントによるカット版。ピアノ協奏曲は弾きぶりであるためか、いささかぎくしゃくしている。ハイ・センスの快演。」
『クラシック・レコードブックVOL.2管弦楽曲編』1985年
[収録曲]
◇ジョージ・ガーシュウィン(1898-1937)
[1] |
ラプソディ・イン・ブルー(ファーディ・グローフェ編) |
[2] |
パリのアメリカ人 |
ピアノ協奏曲 ヘ調 |
[3] |
第1楽章:Allegro |
[4] |
第2楽章:Adagio – Andante con moto |
[5] |
第3楽章:Allegro agitato |
[詳細]
ジェルヴァーズ・ド・ペイエ(クラリネット)
ハワード・スネル(トランペット)
ロンドン交響楽団
ピアノ&指揮:アンドレ・プレヴィン
録音 |
1971年6月4日、6日、ロンドン、アビーロード第1スタジオ |
初出 |
HMV ASD 2754(1971年) |
日本盤初出 |
東芝音楽工業 AA 8897(1971年6月)
|
オリジナル・レコーディング |
[レコーディング・プロデューサー]クリストファー・ビショップ
[バランス・エンジニア]クリストファー・パーカー |
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