音のバランスを考える

演奏には主役と脇役がある

ポートレートを撮影するときは「人物」にピントを合わせて「背後」をぼかします。これは人間がものを見ているとき、中央をハッキリ見て、周囲は比較的ぼんやりと見えている状態を、写真に取り入れた方法です。このように撮影すると、人物はよりリアルに感じられます。
演奏も同じで「ハッキリ聞こえる音(主役)」と「ぼんやりと聞こえる音(脇役)」は、明確に分かれています。
オーディオ機器の音質改善は「それまで聞こえなかった細かい音がハッキリ聞こえること」と考えられがちですが、その時に気をつけなければならないのが「本来ハッキリと聞こえてはいけない音(脇役の音)」を明瞭にし過ぎないことです。良い演奏、心地よい演奏とは、主役と脇役が入れ替わりながら、運動を繰り返します。主役と脇役の入れ替わりより鮮やかで、それぞれが上手く解け合うと、美しいハーモニーが形成されます。それまで聞こえていなかった音は、もしかするとハッキリと聞こえるべきではなかった音なのかも知れません。

音の輪郭成分に注目する

音がハッキリと聞こえるのは、高音がしっかり出ているからです。楽器を演奏するとき、アマチュアとプロフェッショナルの最も大きな違いは「音の立ち上がりの早さ(アタック)」です。交響曲でコンサートマスタ−(指揮者の横に立っているソロバイオリニスト)の一台のバイオリンの音が、それよりも遙かに数の多い伴奏担当のバイオリンよりもハッキリと聞こえるのは、この「アタック」の違いによるものです。
ストラドバリ、ガルネリ、など名器と呼ばれるバイオリンの音は、例外なく「高域の立ち上がり」が早く、アタックがしっかりしています。測定的には小さな音が、大きな音の楽器よりも「ハッキリと聞き取れる」のは、高域がしっかりと出るからです。このアタック成分のことを「音の隈取り」と呼んでいます。また、楽器の音は基本周波数(基音)とその倍数(倍音)に音のエネルギーが集中しています。これを「倍音構造」と呼んでいます。楽器の音を明瞭に聞かせるためには、高域の倍音を強く出すことが重要です。エレキギターのベース音にメリハリを付けるためには「8kHZ付近の音」を持ち上げば良いことが知られています。それは、この付近周波数で私達は「音の明瞭度」を感じ取っているからです。

絶対的な音量ではなく、音が大きくなる速度が大切

私達は緩やかに大きくなる刺激よりも、急激に大きくなる刺激をより強く感じます。同じ強さの刺激を与えるとき、先端が丸いものよりも、先端が尖ったものの刺激がよりハッキリ感じられるのも同じです。この現象を音に置き換えて考えると、鼓膜を緩やかに動かす「振幅の大きな音波」の刺激は小さく、鼓膜を瞬時に鋭く動かす「パルス性音波(圧力の高い音波)」の刺激をより強く感じるはずです。
オーディオ機器の接続ケーブルを交換したとき、音量を変えていないのに「音が大きく聞こえるようになった」経験はありませんか?これは、ケーブルを交換したことで音の明瞭度を向上させる高域の成分が、より正確に再現されているからです。つまり、立ち上がりが早く本来ハッキリ聞こえなければいけないはずの音が、オーディオ機器の過渡特性の問題で、ハッキリと聞こえていなかったのです。
明瞭度が正確に再現されれば、主役と脇役の違い、音の変化の大きさがより強く(大きく)感じられるようになり、同じ演奏がより躍動的に楽しく聞こえるようになります。

もっと明瞭度が高い音は、パルス音波

では、楽器の中で最も「明瞭度が高い楽器」はどのようなものでしょう?
JAZZではシンバルの音、交響曲ではトライアングルの音が最もハッキリ聞こえます。それはそれらの楽器が発生する音(音波)が最も鋭い(圧力が高い)からです。金属を打ち付けて音を出す楽器は、「剛性の高い金属が高速で振動する」ことで音を発しています。この時、金属内部を振動が伝播する速度は「1000Km/hと音速の2倍以上早く」、金属表面もそれに近い速度で振動しています。高速で振動している金属表面に接している空気は、恐るべき早さで「圧縮」され、パルス状の強い圧力を持つ音波が発生します。
また、このような音速を超える速度で急速に圧縮された音は、レーザー光線のように「距離によって減衰しなくなる」という特徴を持ちます。遙か上空を飛ぶジェット戦闘機の排気音で「家屋のガラスが振動する(割れる)」のは、音速を超えた「ハイパーソニック」が発生し、音波が減衰せずに地上に届いているからです。
楽器が発生した音をスピーカーで再生するには、楽器が発生する「ハイパーソニック」も再現しなければなりません。しかし、一般的なスピーカーの高音発生装置(ツィーター)は薄い膜が使われているため、楽器ほど空気を瞬時に強く圧縮できません。それが、オーディオ機器の音が、「楽器本来の音の生々しさを失う」大きな原因となっているのです。

楽器から高音が発生する仕組み

ここで、楽器から高い音が出る仕組みと、スピーカーから高い音が出る仕組みを比較してみたいと思います。楽器は、先ほど例にあげたトライアングルで考えます。
トライアングルの表面は高速で振動していますが、この振動モードは「金属表面が波打つ(波動モーション)」で、スピーカーのユニットのような「ピストンモーション」ではありません。先ほども説明したように、高速で波打つ金属の表面に接している空気は急激に圧縮され、圧力の高い音波(パルス波)を発生します。しかし、一般的に使われている「薄い膜をピストンモーションで動かすツィーター」をでは、振動体の強度が不足するため、楽器のような「パルス性を帯びた圧力の高い音波」を発生させることは物理的に不可能です。
スピーカーで使われている「薄い膜(ツィーター)」のような仕組みは、トライアングルを始めとしてバイオリンなど「高音を発する楽器」にはありません。楽器からの高音が発生するときには、必ず「波動モーションによる強い圧力の音波」が含まれています。

波動ツィーターの発明

最近はハイレゾやDSDが高音質とされ、既存のスピーカーに追加することで100kHzまでの高音を発生できる「スーパーツィーター」が発売されています。しかし、これらのツィーターは「圧力の高い音波」を発生しないので、根本的な問題を解決できません。そればかりか、スーパーツィーターを付け足すことによる「高域のエネルギー増加」が逆に音質のバランスを損ね、音質を不自然にしてしまうのです。
この問題を解決するために、逸品館が発明したのが「波動ツィーター」です。このツィーターは、剛性の高いカーボンの板を波動モーションで振動させることで、トライアングルやシンバル、あるいはバイオリンのように「楽器が高音を発生するのと同じ仕組み」で高音を発生させ、従来のツィーターでは不可能だった「圧力の高い音波=音の輪郭情報」を再現します。

このツィーターを追加することで、あなたのスピーカーからは「楽器のように生々しく鮮やかな音」が発生するようになります。さらに「それまでは感じられなかった細やかな楽器の音の変化」や「トライアングル、シンバル、バイオリン、トランペットやサックス」など、あらゆる楽器の音が「より生々しく再現」されるようになります。
輪郭成分「アタック」が明確になることで、高音の伸びやかさや明瞭度、音の方向性や動きの早さが改善されるだけではなく、低音楽器のリアリティーも大幅に向上します。

AIRBOW 波動ツィーター CLT-5 (詳しくはこちらをご覧ください)

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