XP-32
パス・ラボラトリーズ(PASS Labs.)の製品は、伝統的に非常に長いモデルチェンジのサイクルを特徴にしています。 フラッグシップシリーズのモデル名XSを冠するXS150&XS300 パワーアンプ(2012)、XS Preamp(2014)、XS Phono(2016) が製品化され、 それらの研究開発で得られた新たな技術とノウハウをフィードバックする手法で従来製品のモデルチェンジがおこなわれます。
当初は、"XS Preamp" との位置付けおよび差別化が難しい為、XPプリアンプシリーズのモデルチェンジ構想からXP-30の後継機は外されていました。 その後、3シャーシのモノラルプリアンプを待望する市場からの要求に応えるため、"XS Preamp" とは異なったコンセプトの XPシリーズのフラッグシップとしてほぼ2年の時を経てXP-32がリリースされることとなりました。XP-32ラインステージ・プリアンプは、XP-30の後継機です。 歴代のパス社製プリアンプを担当しているプリアンプエンジニアのウェイン・コルバーン氏(WayneColburn)渾身の力作です。
特徴
高効率で低ノイズの新トロイダル電源トランス
XP-32の電源部は、新たに静電シールドとMu METAL® シールドでノイズ対策を施された低ノイズ・トロイダルトランスを 各チャンネルに1つずつ合計2個採用しています。さらに、同等のトランスをロジック回路用に追加で搭載し、 オーディオ回路への悪影響を排除しました。このトランスは、ラインステージ・プリアンプとしても十分使用可能なヘッドフォンアンプ HPA-1で使用された技術を取り入れています。
HPA-1に好結果をもたらしたエポキシ樹脂を真空含浸処理により トロイダルトランス内部の隙間にしみ込ませる製造法は、絶縁機能の強化だけでなく、エポキシ樹脂の固化による物理的強度の向上や、 湿気・埃などがトランス内部へ入り込むことを防ぎます。これらの技術をXP-32にフィードバックすることにより、 電気的および機械的に非常に静かなトランスが得られました。この秀逸なトランスを2個搭載することにより、 電源部を完全なデュアルモノ構成に仕立て上げました。電源部は、電源回路入り口にRCフィルターを追加しています。 この結果、トランスの放射ノイズとメカニカルノイズ(振動)を抑えます。
左右チャンネル独立のプリアンプ部
プリアンプ部は2段ゲインで左右のチャンネルが独立しています(2シャーシ構成)、PASS Labs. お得意のNOS(New Old Stock) 東芝製FETを引き続き使用しています。 Xsフラッグシッププリアンプと非常によく似たトポロジーで、より大きく、 より高いバイアス電流出力ステージを搭載しています。ボリュームコントロールはシングルステージで、より静かでダイナミックでありながら、 XSプリアンプと同様に0.5dB の音量ステップを特徴としています。前モデルXP-30 は、 オペアンプ内蔵ボリュームICとリレーを組み合わせ音量コントロール回路を形成していました。
XP-32 では、Muse 社のボリュームICを新たに採用。PASSは、このICの内蔵オペアンプを使用せず、自社でより大きな電圧を扱える専用アンプ回路を設計しました。その結果、リレーを使用せず使用パーツ数を減らし、よりシンプルながら100dB(0.5dBステップ)の一段構成(シングルステージ)のボリューム回路を設計しました。フロントパネルのボリュームノブ(光学式エンコーダー)で読み取られた信号をマイクロコントローラーで制御し通常のボリュームでは考えられないほど正確に2つのバランスチャンネルの音量レベルを調整し、さらにバランス回路の高いコモンモードリジェクションを実現します。
回路デザイン
XP-32 は、XS プリアンプをベースにした新しい入力回路を搭載しており、ノイズや歪みを低減し、駆動能力を向上させています。ノイズは、低レベルでのTHD+N の中で最も顕著に現れます。ノイズを低減することで、より良い解像度とダイナミクスを得ることができます。ハイバイアス出力段にはXP-32専用のプラグイン基板を採用し、オートバイアス回路で安定したより高いバイアスで動作し、出力インピーダンスは大幅に低下しています。
使用しているトランジスタは、パス社が全幅の信頼を置く東芝製のJFET を入力側に、出力側にMOSFETを使用しています(クワッドマッチド低ノイズ対称型JFET:チャンネルマッチング 0.05 dB)。この出力回路により、長いケーブルの引き回しやマルチパワーアンプ接続等の負荷にも安定した出力を実現しています。
さらにブラッシュアップされたパーツ
コントロール部と電源部を接続すコネクターとケーブルも新たなパーツが採用されました。日本のJAE 社製の無酸素銅に銀メッキを使用した航空グレードの円形コネクタを使用しています。(XP-30 では、Din25pin ケーブルとコネクターを採用していました。)
ウェイン・コルバーン氏(Wayne Colburn):設計者のコメント
ノイズの問題に関して、私は常に低い方が良いと感じています。 測定ではXP-32 の方がXP-30 よりも少しだけ良いのですが、実際に音楽を聴きながらの効果は、測定値以上に大きく感じます。スピーカーからノイズを出さないことは、設計の良いスタートですが、私たちの脳は特に低いレベルの再生においてそれ以上のことを教えてくれると思います。音的には、XP-32 はXP-30よりも静かで、よりダイナミックになっています。新しい電源を採用したこともあり、解像度が向上しています。また、空間をよりリアルに再現しています。これは出力段とバイアス、そして電源のアップグレードによるものだと思います。
仕様説明
ゲイン |
9.6dB(バランス)、3.0dB(アンバランス) |
ボリュームステップ |
200 |
周波数特性 |
+/-0.05dB 10Hz〜20kHz、-2dB@150KHz |
高調波歪率 |
0.001% 以下 @ 1V 1kHz |
残留ノイズ |
500nV RMS, SN -150dB ref max out |
S/N比 |
-125dB |
出力インピーダンス |
50Ω(バランス)、25Ω(アンバランス) |
入力インピーダンス |
42kΩ(バランス)、21kΩ(アンバランス) |
入力感度 |
1.7V(5V出力時) |
クロストーク |
-110dB以上 |
入力端子 |
XLR/バランス(5系統)、RCA/アンバランス(5系統)
Pass thru:XLR/バランス(1系統)、RCA/アンバランス(1系統) |
出力端子 |
Master:XLR/バランス(1系統)、RCA/アンバランス(1系統)
Slave:XLR/バランス(1系統)、RCA/アンバランス(1系統) |
テープ端子 |
入出力:XLR/バランス(1系統)、RCA/アンバランス(1系統) |
リモコン |
ボリューム、ファンクションコントロール |
消費電力 |
60watts / 100V |
外形寸法 |
プリアンプ部:432(W) x 102(H) x 340(D) ×2筐体
電源部/コントロール部:432(W) x 102(H) x 350(D) |
ケーブル長 |
155cm |
重量 |
プリアンプ部:8.0kg×2筐体 電源部/コントロール部:11.3kg |
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