限りない静寂を背景に、すべての音が自然に息づき、躍動する
ESOTERICの英知が生みだした珠玉のプリアンプ
ESOTERICの誇り高き指標「Grandioso」を冠したプリアンプのフラグシップモデル、「Grandioso C1X(2020年発売)」は、プリアンプの核心部であるボリュームシステムを構成するICをオリジナル開発とした「Ultra Fidelity Attenuator System」や、デュアルバランス回路、完全デュアルモノ構成、パワーアンプをしっかりと駆動する強力なバッファーアンプと電源回路、「ES-LINK Analog」電流伝送など、次の時代のリファレンスとなり得る数々の技術革新とESOTERICの英知の全てを盛り込んだ珠玉のフラグシッププリアンプです。
今回発売するGrandioso C1X「solo」エディションは、C1Xの内部回路構成のみならず、回路ブロックごとに5つに独立した電源トランス構成なども変えることなく一体型シャーシに収めることで、C1Xのシグネチャーサウンドそのままに、優雅で美しいサイズファクターを実現しています。
特徴
■新開発『ウルトラ・フィデリティ―・アッテネーターシステム』
プリアンプに採用されるボリュームには、主に2つの方式があります。複数の固定抵抗を切り替えてボリュームを調整する「固定抵抗切替式アッテネーター回路」は、接点部分の信頼性が高く、ピュアでダイレクトな音質を引き出せるため、音質を追及するプリアンプとしては最も優れる理想的な方式です。ただし、抵抗の切り替えで音量を設定するため、スムーズなボリューム調整を行うためには、回路規模があまりに大きくなり過ぎてしまいます。それに対してボリュームポット(カーボン抵抗)を使ったもう一つの方式「可変抵抗ボリューム回路」はスムーズな無段階の音量調整が可能です。しかし配線距離は長く、左右のクロストークの悪化、永年の使用による接点の劣化が避けられません。「固定抵抗切替式アッテネーター回路」の優れた音質そのままに、「可変抵抗ボリューム回路」のように無段階でお好みの音量に正確に設定できる、理想のアッテネーター回路を追求し、完成したのが新開発『Ultra Fidelity Attenuator System』です。
■アッテネーターモジュール『UFA-1792』
『Ultra Fidelity Attenuator System』の核となるのが、固定抵抗切替式アッテネーターを集積回路化したオリジナルモジュール『UFA-1792』です。0.1dB/1,120ステップでの内部の固定抵抗の切り替えが可能となり、これは一般的なアッテネーターモジュールが0.5dB/100ステップ程度であることを考えると驚異的に細かく、無段階に近いボリューム調整が可能であることを意味します。また、オリジナルモジュールとして、素材や内部回路パターン、レイアウトまですべてを妥協なく吟味することで、最高峰プリアンプに相応しい解像度と音色を実現しています。
■アンプモジュール『IDM-01』
プリアンプの増幅回路の心臓部には、オリジナルモジュール『Integrated Discrete-Amplifier Module IDM-01』を搭載しました。素材や回路パターン、レイアウトまでを吟味することで、ディスクリート構成のアンプと同じようにESOTERICのサウンド・フィロソフィーを徹底させるとともに、集積回路の利点を生かした極めて短い信号経路により、音楽の躍動をダイナミックかつ繊細に増幅することができます。
■チャンネル毎に4回路のデュアルバランス回路で構成
オリジナルの2つの新しいモジュール技術を基軸として、フラグシップモデルに相応しい物量を投入。Grandioso C1Xでは、Ultra Fidelity Attenuator Systemをチャンネル毎に4回路使ったデュアルバランス・プリアンプ回路を構成。すべての入力信号はバランス化され、ノイズの影響を受けにくい低インピーダンスで内部伝送されます。最高峰のモジュール技術を使ったデュアルバランス構成により、ギャングエラーやクロストークとは完全に無縁、ノイズレスでパワフル。そして何よりも音楽の躍動感をしっかりとパワーアンプに伝えます。
■パワーアンプを強力に駆動するパラレル駆動ESOTERIC-HCLD出力バッファーアンプ
プリアンプを変えた時、それまで鳴らしきれなかったスピーカーが朗々と鳴り出した経験をお持ちのオーディオファイルは数多いことでしょう。聴感上、プリアンプはシステムの駆動力にたいへん大きな影響を与えます。優れたプリアンプはスピーカーを鳴らしきるのです。
Grandioso C1Xは、出力バッファーアンプに考え得る最大の物量を投入し、パワーアンプの駆動力を最大化しています。出力バッファーアンプは優れた駆動能力と180MHzというワイドレンジで定評の『ESOTERIC-HCLD(High Current Line Driver)』を採用。2,000V/μsという驚異的にハイスピードなスルーレートを誇ります。この強力なバッファーアンプを一つの信号ラインに対してパラレル構成で搭載。また、出力バッファーアンプは電源部も独立しており、専用の大型トロイダル電源トランスを2基、左右独立構成で搭載しています。フラグシップに相応しい強力な電流出力能力を誇るC1Xの出力バッファーアンプは、パワーアンプそしてその先のスピーカーを鳴らしきることで、今まで体験したことの無いほどの躍動感をリスナーに伝えます。
■贅沢な物量投入と強力な電流出力能力
プリアンプのサウンドの良し悪しは7割が電源部の設計で決まるとESOTERICは考えています。C1Xは、左右の入力/出力アンプとコントロール部の合計5つのメインコンポーネントで構成されます。これら5つの全てをセクションごとに独立した5つの電源トランス(オーディオ系:トロイダルコア、コントロール系:Rコア)で強力に駆動しています。セクションごとに電源を分け、本来必要とされる電源容量を遥かに超える物量を投入することで、回路ブロック間の相互干渉を根本から排除し、極めてピュアで躍動感あふれる音質が得られます。また、大容量Grandiosoカスタムブロックコンデンサー、ショットキーバリアダイオードなど、フラッグシップ機に相応しい厳選されたパーツを採用し、高音質を追求しました。
■強力な電源部
独自に開発された64bit/512Fs対応のΔΣモジュレーターを搭載し、DSD 22.5MHzの再生をはじめとする最新フォーマットに対応。DSD、PCMをそれぞれ最適に再生するためのFPGAのデジタル処理アルゴリズムは、Master Sound Discrete DACのために開発された専用のアルゴリズムになっています。
■ES-LINK Analog
フラグシップGrandioso セパレートアンプにおいて、ESOTERICは、プリ・パワー間伝送におけるフィデリティ―の限界に挑み、新しい地平を拓きます。実使用では信号レベルが著しく低いプリ・パワー伝送において、ESOTERIC独自の電流伝送「ES-LINK Analog」はまさに理想的な方式。一般的な電圧伝送と比べて、約100倍の電流を伝送します。そのためノイズの影響を受けにくく、音楽のエネルギーは余すところなくプリからパワーへ送り込まれます。また、原理的に接続ケーブルのインピーダンスの影響を受けないため、プリからの出力信号とパワーへの入力信号の同一性を極めて高く保つことができます。
ES-LINK Analog = ESOTERIC独自の電流伝送
ES-LINK Analogは、ESOTERIC独自の電流伝送方式です。対応した機器同士を接続することで、レコーディングスタジオのアナログコンソールからそのまま再生するよう な、臨場感に溢れた再生が可能で、音楽のエネルギーを余すところなく伝送することができます。音色の特長として、パワフルで、奥行感やライブ感に大変優れています。
オーディオ機器では、音楽信号の強弱を、電圧の強弱で伝える「電圧伝送」が一般的です。これに対して、ES-LINK Analogは、電流の強弱や方向性で音楽信号を伝える「電流伝送」です。
通常の電圧伝送では、出力機器側の出力インピーダンスは低く、入力機器の入力インピーダンスを高くする、「ロー出し、ハイ受け」が基本となります。つまり、信号伝送時に必要な電流値は低く抑える傾向にあります。
また伝送路(インターコネクトケーブル)の抵抗成分(インピーダンス)により、伝送する信号の電圧は、オームの法則(電圧=電流×抵抗)で計算されるレベル分減衰して、入力機器側で受信されることとなります。そしてケーブルが長くなると抵抗分が大きくなり、影響はより大きくなります。
それに対して、電流伝送では出力機器の出力インピーダンスは高く、入力機器の入力インピーダンスを低くする、「ハイ出し、ロー受け」の回路となり、電圧伝送に比べ、信号伝送時の電流値は大きくなるため、音楽信号を力強く送り出すことができます。
また、電流伝送では、出力機器から出力された電流値と、入力側の機器が受け取る電流値は常に一致します。ホースを使って蛇口からバケツに水を送ることを想像してみてください。ホースに穴が開いていない限り、蛇口から出た水はホースの長さに関わらず、常に同じ量をバケツ側へ流すことができます。同じように、仮に伝送路となるケーブルが複数経路に分かれるようなことがなければ、出力側からの電流は、全て入力機器に届けられ、流れる電流値は必ず一致し、伝送路が長くなっても変わりません。微小な信号も正確に伝送ができるこの利点は、精密な信号を計測する計測機器で電流伝送が多用されていることからも明らかです。
ESOTERICの機器では、通常の電圧伝送の出力機器側は出力インピーダンス数十Ω、入力機器側は100kΩ程度の入力インピーダンスで設計されています。それに対し、ES-LINK Analog の送受信回路では、出力機器側の出力インピーダンス約1kΩ、入力機器側は入力インピーダンス0Ωで受信するような回路となっています。
音楽信号を伝送する場合に流れる電流値に着目した場合、通常の電圧伝送と同じレベルの音楽信号を伝送しているときの、ES-LINK Analog伝送の電流値は、電圧伝送で流れる電流値の約100倍となります。電流値が高いため、音楽のエネルギーを余すところなく伝送することができるのです。
■入力アンプ
入力アンプも出力アンプ同様、電源トランス、整流回路まで左右独立した完全デュアルモノ/デュアルバランス回路で構成しました。入力アンプから出力アンプへの信号受け渡しには、ESOTERIC-HCLDバッファーアンプを使うなど、入力信号をロスなく伝送します。入力切り替えスイッチは、従来のメカニカルリレー方式からFET素子によるスイッチを採用。瞬間電流12A・常時3Aを許容するFET素子により電流ロスを極力抑え、従来のメカニカルリレーでは避けられなかった、接点部の希少金属による音色への影響や動作音、経年による音質の劣化を排除。プリアンプとして求められる限りなく透明度の高い、ピュアな音色を実現しました。
■ウルトラ・ローノイズ・ロジックコントロール
操作・表示を司るロジック系コントロール部はアンプモジュールとは隔離されたフロントパネル部にシールドされた状態で収納。プリアンプ部との接続にはコントロール信号を光に変換して伝送するフォトカプラを使用し物理的・電気的なアイソレーションを徹底しています。さらに、操作時以外はコントロール回路を完全停止することで、オーディオ信号を扱う回路に影響を与えない低ノイズ・オペレーションを実現しています。また、システムの電源を切る際には、自動的にボリューム設定をゼロに下げ、電源投入後には、自動的に元に戻すことで電源ON/OFF時のボリューム操作を不要としています。また入力を切り替えた際には音楽信号をフェードアウト/フェードインさせるなど、エレガンスにあふれ、使うことに悦びを感じるような、高級感あふれる操作性を目指しました。
■シャーシコンストラクション
「マスターサウンドの再現」という唯一無二のデザイン・ゴールに向けて、C1Xのシャーシは、音質へ影響を及ぼすあらゆる振動を最適にコントロールします。剛性と柔軟性のバランスを極限まで突き詰めた、スポーツカーさながらのメカニカル・エンジニアリング。流麗でクリーンなフォルムが、その完成度の高さを物語ります。
例えば、剛性が必要なエンクロージャーはアルミニウムブロックを多用し、無共振化を徹底しました。その一方で、開放感のあるサウンドのために、振動の開放が必要なトップパネルは、セミフローティング構造を取り、ESOTERIC独自のスパイクと受皿を一体化した特許取得アイソレーションフットもメカニカルストレスを軽減し、音質を高める特殊な取り付け構造を採用しています。
■操作する悦びを満たす上質なフィーリング
音量調整と入力セレクターにはアルミブロック材から削り出した無垢構造のノブを採用。回転軸にVRDSドライブメカの設計で培ったベアリング機構を採用することで、芯ブレの無い極めて精緻な回転を実現。最適な回転トルクに調整することで、ESOTERICのフラグシッププリアンプにふさわしい滑らかでアナログフィールにあふれた操作感を実現しています。
■両面にボタンを配した新型リモコン
ESOTERICのデジタルソース機器も操作可能なコンパクトでシンプルなリモコンが付属。リモコンの両面に操作シーンごとに使うボタンを配置した機能的なデザイン。手に馴染みやすいスマートホンサイズのアルミニウム製ボディは、高度な金属加工により実現。手にする度に考え抜かれた操作性と職人技を実感できるデザインはESOTERICの新たなアプローチです。
■主な特長まとめ
・完全デュアル・モノブロック構成を一体型シャーシで実現
・チャンネル毎に4回路のデュアルバランス構成により、徹底したローノイズ化
・0.1dB/1,120ステップを実現した「Ultra Fidelity Attenuator System」搭載
・ディスクリートアンプ・モジュール「IDMー01」搭載
・独自の電流伝送「ES-LINK Analog」を入力3系統、出力2系統装備
・スルーレート2,000V/μs 電流伝送強化型出力バッファー回路、ESOTERIC-HCLD(High Current Line Driver)
・XLR出力2系統、ES-LINK Analog出力2系統によるマルチパワーアンプシステムの構築が可能
・オーディオ系大容量トロイダル×4、コントロール系Rコア×1の5トランス構成
・FET素子による入力切替回路でリレーによる音質の色付けを排除
・高精度ボールベアリングによりブレなく滑らかなフィーリングのコントロールノブ
・入力毎のゲイン調整:±18dB(0.1dBステップ)、L/Rバランス調整: ±6dB(0.1dBステップ)
・AVサラウンドとピュア2チャンネルが共存できるAVスルー機能(入力端子を選択可能)
・ディスプレイに表示するソース機器名を編集可能
・ディマー機能、ミュート機能、ディスプレイの自動OFF設定など各種機能
・音量を大きな文字で表示するラージフォント採用
・外部コントロールポートRS-232C端子
・トリガー入力による電源ON/OFF制御とトリガー出力によるパワーアンプの電源制御が可能
・両面にボタンを配したリモコンでESOTERICソース機器の操作も可能(RC-1334)
仕様説明
■アナログ音声入力
|
XLR/ES-LINK Analog端子 |
3系統 |
入力インピーダンス |
50kΩ |
入力感度 |
500mV(定格入力時) |
最大許容入力電圧 |
11.7V |
RCA端子 |
2系統 |
入力インピーダンス |
500kΩ |
入力感度 |
500mV(定格入力時) |
■アナログ音声出力
|
XLR端子 |
2系統 |
出力インピーダンス |
30Ω |
定格出力 |
2V |
最大出力レベル |
17V(1kHz、0.003%) |
ES-LINK Analog端子 |
2系統 |
出力インピーダンス |
30Ω |
■外部コントロール
|
RS-232C |
1 |
端子 |
S-sub 9ピン端子 × 1 |
トリガー入力 |
|
端子 |
3.5mm モノラルミニジャック × 1 |
入力レベル |
12V、2mA |
トリガー出力 |
|
端子 |
3.5mm モノラルミニジャック × 2 |
入力レベル |
12V、100mA max.(2系統合計) |
■オーディオ特性
|
周波数特性 |
1Hz〜150kHz(–3dB、XLR) |
S/N比 |
120dB(2V入力、A-weight、XLR) |
全高調波歪率 |
0.00035% |
ゲイン |
+12dB |
■総合
|
電源 |
AC 100V、50/60Hz |
消費電力 |
22W |
スタンバイ時消費電力 |
リモコン入力端子(RS-232C)設定OFF時 0.3W、ON時 1.0W |
外形寸法(W×H×D) |
445 × 132 × 449mm(突起部含む) |
質量 |
27.5kg |
付属品 |
電源コード × 1、リモコン(RC-1334) × 1、リモコン用単三型乾電池 × 2、フェルト × 4、取扱説明書 × 1、ご愛用者カード × 1 |
メーカー保証 |
5年(※メーカー登録後) |
※製品の仕様、外観などは予告なく変更されることがありますので、予めご了承ください。