緻密に、そしてダイナミックに。音楽の全てを開放し、描き切る。
クラスAステレオパワーアンプの新たなるマイルストーン、Grandioso S1X登場。
モノブロックパワーアンプの旗艦「Grandioso M1X」の誕生により、ESOTERICアンプ設計プラットフォームは完全刷新されました。そして「Grandioso S1」は、従来とは全く異なるクラスA ステレオパワーアンプの旗艦「Grandioso S1X」として新たに生まれ変わりました。
モノブロックM1Xは、ESOTERICの考えるアンプの理想を体現したモデルです。完全に刷新したドライブステージ、強力な電源部が生み出すM1Xのダイナミックなサウンドは世界中のオーディオファイルを虜にしました。今回発売するクラスAのステレオモデルであるS1Xは、M1Xのシグネチャーサウンドである「音楽の持つ力、その全てを解き放つ躍動感」、「雄大なスケール感」を見事に踏襲しながら、2,400W/1Ωのハイパワーと引き換えに、半分のスペースファクターとクラスAならではの透明感あふれる緻密な表現力を新たに獲得しています。ESOTERICが考えるクラスA ステレオアンプの理想を実現するマイルストーンモデルがここに完成しました。
特徴
■New Drive Stage
大容量バイポーラトランジスターによるシンプルな5パラレルプッシュプル駆動の新設計ドライブステージは、クラスA(動作領域50W/8Ω)とすることで、緻密で透明感に溢れたサウンドを備えています。しかしながら、歪みが少なく、緻密という、一般的なクラスAの特徴だけでは、S1Xの魅力は到底語りつくすことはできません。
直熱三極管式アンプのようなビビッドな色彩感。有り余るほどのアイドリング電流に裏打ちされたハイスピードな音の立ち上がり。駆動力、開放感…。
力強い音色を持つ大容量バイポーラ素子の採用や、強力な電源部など、M1Xのパワフルでダイナミックな設計思想を受け継いだS1Xの新しいクラスAドライブステージは、増幅方式を問わず、アンプが本来あるべき姿を真摯に追求し、ESOTERICのこだわりを総結集したサウンドクオリティーを実現します。
■Fidelity
フラグシップGrandioso セパレートアンプにおいて、ESOTERICは、プリ・パワー間伝送におけるフィデリティ―の限界に挑み、新しい地平を拓きます。
実使用では信号レベルが著しく低いプリ・パワー伝送において、ESOTERIC独自の電流伝送「ES-LINK Analog」はまさに理想的な方式。一般的な電圧伝送と比べて、約100倍の電流を伝送します。そのためノイズの影響を受けにくく、音楽のエネルギーは余すところなくプリからパワーへ送り込まれます。
また、原理的に接続ケーブルのインピーダンスの影響を受けないため、プリからの出力信号とパワーへの入力信号の同一性を極めて高く保つことができます。
ES-LINK Analog = ESOTERIC独自の電流伝送
ES-LINK Analogは、ESOTERIC独自の電流伝送方式です。対応した機器同士を接続することで、レコーディングスタジオのアナログコンソールからそのまま再生するよう な、臨場感に溢れた再生が可能で、音楽のエネルギーを余すところなく伝送することができます。音色の特長として、パワフルで、奥行感やライブ感に大変優れています。
オーディオ機器では、音楽信号の強弱を、電圧の強弱で伝える「電圧伝送」が一般的です。これに対して、ES-LINK Analogは、電流の強弱や方向性で音楽信号を伝える「電流伝送」です。
通常の電圧伝送では、出力機器側の出力インピーダンスは低く、入力機器の入力インピーダンスを高くする、「ロー出し、ハイ受け」が基本となります。つまり、信号伝送時に必要な電流値は低く抑える傾向にあります。
また伝送路(インターコネクトケーブル)の抵抗成分(インピーダンス)により、伝送する信号の電圧は、オームの法則(電圧=電流×抵抗)で計算されるレベル分減衰して、入力機器側で受信されることとなります。そしてケーブルが長くなると抵抗分が大きくなり、影響はより大きくなります。
それに対して、電流伝送では出力機器の出力インピーダンスは高く、入力機器の入力インピーダンスを低くする、「ハイ出し、ロー受け」の回路となり、電圧伝送に比べ、信号伝送時の電流値は大きくなるため、音楽信号を力強く送り出すことができます。
また、電流伝送では、出力機器から出力された電流値と、入力側の機器が受け取る電流値は常に一致します。ホースを使って蛇口からバケツに水を送ることを想像してみてください。ホースに穴が開いていない限り、蛇口から出た水はホースの長さに関わらず、常に同じ量をバケツ側へ流すことができます。同じように、仮に伝送路となるケーブルが複数経路に分かれるようなことがなければ、出力側からの電流は、全て入力機器に届けられ、流れる電流値は必ず一致し、伝送路が長くなっても変わりません。微小な信号も正確に伝送ができるこの利点は、精密な信号を計測する計測機器で電流伝送が多用されていることからも明らかです。
ESOTERICの機器では、通常の電圧伝送の出力機器側は出力インピーダンス数十Ω、入力機器側は100kΩ程度の入力インピーダンスで設計されています。それに対し、ES-LINK Analog の送受信回路では、出力機器側の出力インピーダンス約1kΩ、入力機器側は入力インピーダンス0Ωで受信するような回路となっています。
音楽信号を伝送する場合に流れる電流値に着目した場合、通常の電圧伝送と同じレベルの音楽信号を伝送しているときの、ES-LINK Analog伝送の電流値は、電圧伝送で流れる電流値の約100倍となります。電流値が高いため、音楽のエネルギーを余すところなく伝送することができるのです。
■Dynamics
フラグシップに相応しいパワフルな駆動力。その源となるのがESOTERICこだわりの電源部です。
クラスA動作のため、常に大電流を必要とするアンプブロックにとって、電源部は迫力ある豊かなサウンドステージを実現するための最大のキーコンポーネント。ESOTERICならではのユニークな電源部設計により、S1Xは緻密さに溢れながらも、極めてダイナミックな音楽表現力を誇ります。
■大型のベアマウント電源トランス
S1Xは搭載できる最大容量のトロイダル・トランスを採用しました。本来の製品性能を満たすよりも遥かに容量の大きいトランスを使用することで、動的な電流供給の変化に対する追随性が極めて高くなり、ダイナミックで開放感に溢れたサウンドが生まれるのです。またトランスの振動を抑えることは、電流の流れが抑制される結果に。そのため、あえてケースを外したベアマウントとしました。
■ドライブ段から独立したプリドライブ段(電圧増幅段)専用電源トランス
フルオーケストラのクライマックスでも、各楽器の繊細な音色が手に取るように聴き取れる高解像度もS1Xの大きな特長です。プリアンプからの微弱な信号を扱うプリドライブ段(電圧増幅段)専用の電源部を備え、電流変動の大きいドライブ段の影響を排除し、解像度を高めています。また、ドライブ段/プリドライブ段の2つの電源トランスとは別に、コントロール用のRコア電源トランスを搭載する3トランス構成とすることで、低ノイズを徹底したピュアな電源を構築しています。
■デュアルモノ構成の電源整流回路
モノーラル音源でない限り、音楽信号は左右が異なります。電源整流回路も一般的な左右共用ではなく、左右独立のデュアルモノ構成とすることで相互干渉を避け、クリアなチャンネルセパレーションと解像度を実現しています。
■ブロックコンデンサーを複数パラレルで使用
整流方式にもGrandiosoならではの徹底したこだわりを投入。ブロックコンデンサーは、Grandioso高音質カスタムコンデンサーを採用。チャンネルあたり10,000μF×6本のデュアルモノ&パラレル構成とし、クラスA動作に必要な大電流供給を常に確保しています。そのため、音楽信号のドラマチックな変化に俊敏に追随し、ダイナミズムを十全に表現することができます。
■低インピーダンス
一次側から電源部、ドライブステージなど、重要な配線は巨大な純銅製バスバー、ボルト接続の極太ケーブルで接続しました。低インピーダンス化を徹底することで、電源供給のレスポンスを最大化しています。
■Less is More
そのマッシブな佇まいを考えると、少し意外かも知れません。しかしながら、信号経路は最短で接続され、回路は驚くほどシンプル。澄みわたる音質を支えているのは、高度なエンジニアリングの結晶が生み出した、いわば「引き算の美学」です。
クラスAアンプは、発熱が大きく、内部温度の安定が非常に重要となります。そのため、温度補償回路の位置や回路を最適化し、アンプブロック全体の温度の安定化を実現しました。これにより、電源投入後のアイドリング電流の安定が早まり、アンプ素子を最も優れた特性で動作させることにつながるため、高音質化に貢献しています。
位相補償回路はシンプルな1ポール構成とし、最終段のコイルレス化も実現。NFB(ネガティブフィードバック)は最小限にとどめ、音楽の躍動感を高めています。ミニマルな回路フィロソフィーにより、音楽にとって最も大切でありながら、失われやすいハーモニクス(倍音)をそのままに、表情豊かに描きます。
■Depth
シンプルな回路の一方で、S1Xは、物量投入により、入力段から最終段まで、デュアルモノーラル構成を徹底することで、再生クオリティーの質的な向上には一切の妥協を排除しています。また、構成コンポーネントは最大クラス。主要部に105μmの銅箔厚を採用した基板パターン、コネクター接続を極力排除した極太ゲージのケーブル類は、パワーアンプらしい大胆さ、力強さに溢れています。ドライブステージにある7本のバスバーは、1.0mmの肉厚な高純度OFC素材を贅沢に使用し、スピーカー出力部には機械接点を持たないMOS FETスイッチを採用。内部インピーダンスの低減で、口径の大きいウーハーも力強くグリップし、低域の限界点まで楽々と到達する駆動力を得ています。
■Texture
S1Xは、パワフルなだけでなく、クライマックスと静寂をつなぐグラデーションを繊細に描きます。入力系統ごとに独立した新設計バランスアンプで信号を受け、増幅段までバランス伝送することで、ノイズレスを徹底し、増幅の安定度を高めています。
入力切り替えをはじめ、音声信号経路に含まれる全ての切り替えスイッチには音色のカラーレーションの少ないFETスイッチを採用。C1Xで開発したIDM-01(Integrated Discrete-Amplifier Module)など、選び抜かれた上質な部品が、音色のテクスチャーを際立たせます。
■Versatility
Grandioso S1Xは、単体のステレオパワーアンプとしての使い方のみならず、ハイエンドにふさわしい様々な使い方に柔軟に対応。組み合わせるスピーカーや使用環境に応じて、2台を使ったモノブロック・アンプにシステムアップできます。モード切り替えで通常のステレオモード、HF/LFの入力が分かれたマルチウェイ・スピーカーを上質に鳴らすためのバイアンプモードに対応。求めるサウンドの質と特性に合わせて、夢のクラスAアンプシステムを構築してください。アンプシステムが大規模化しても、Grandioso C1Xなどプリアンプとのトリガー接続※により、電源オン/オフを連動させることができるので、ハイエンドにふさわしい洗練された使い方ができます。
※ 接続用の3.5mmモノラル・ミニプラグ・ケーブルは別売です。ご使用環境に合わせた長さのものを別途ご用意ください。
バイアンプモード
S1Xを2台使い、「バイアンプモード」に設定すると、ステレオモードではL/Rだった出力端子からは、同じ音声信号が出力されます。つまり、1台で2系統のスピーカー出力を備えたモノーラルパワーアンプとして使うことができます。出力はS1Xを通常のステレオモードで1台使った場合(50W/8Ω)と変わりませんが、図のようにスピーカーのHF/LFユニットをそれぞれ別のパワーアンプ回路で駆動することができるので、マルチウェイ方式のスピーカーをよりピュアに鳴らすことが可能です。駆動力よりも解像度を重視する場合に有効なモードです。
■Mechanical Perfection
「マスターサウンドの再現」という唯一無二のデザイン・ゴールに向けて、S1Xのシャーシは、音質へ影響を及ぼすあらゆる振動を最適にコントロールします。剛性と柔軟性のバランスを極限まで突き詰めた、スポーツカーさながらのメカニカル・エンジニアリング。流麗でクリーンなフォルムが、その完成度の高さを物語ります。
例えば、剛性が必要なエンクロージャーはアルミニウムブロックを多用し、無共振化を徹底しました。その一方で、開放感のあるサウンドのために、振動の開放が必要なトップパネルは、セミフローティング構造を取り、ESOTERIC独自のスパイクと受皿を一体化した特許取得アイソレーションフットもメカニカルストレスを軽減し、音質を高める特殊構造を採用しています。また、アンプブロックの大型ヒートシンクには、フィンのピーク・レゾナンスを分散させ、共鳴を抑える特殊なウェーブ形状を採用しました。
■Dual Honeycomb Grille
S1Xのエクステリアで最も目を引くのが、トップの「デュアル・ハニカム・グリル」。ハニカム形状の開口部を採用し、排熱を向上させ、トップパネル軽量化をぎりぎりまで追求することで、音の解放感を高めました。厚みの異なる2枚のグリルを重ねることで、振動も効率的に分散し、ピュアな音色を追求しました。またトップパネルの開口部のレイアウトは、優雅な外観とクラスAの熱量をコントロールする排熱性能を高度に両立したデザインで完成させました。
■主な特長まとめ
・大容量バイポーラトランジスターによる5パラレルプッシュプル駆動の新設計ドライブステージ
・純A級動作領域50W/8Ω による緻密さとダイナミズムを両立した密度感ある音楽表現
・プリ/パワー間におけるフィデリティ―の限界に挑む「ES-LINK Analog」伝送
・圧倒的なダイナミクスを生む優れたパワーリニアリティー(50W/8Ω – 100W/4Ω)
・動的な電流供給の変化に極めて追随性の高い大容量トロイダルコア電源トランス
・前段/ドライブ段/制御系で電源トランスを独立させた3トランス構成
・チャンネル独立の大容量Grandiosoカスタムブロックコンデンサー(10,000μF × 6/ch)
・純銅製バスバー、極太配線、最短パターン接続により、内部インピーダンスを大幅低減
・各回路ブロックのオーディオ接続をバランス化し、ローノイズを徹底
・入力切替用FETスイッチ、ディスクリートアンプモジュールIDM-01など、高音質パーツ採用
・ステレオモード、バイアンプモードの2モードを採用し、2台を組み合わせて更なるシステムアップが可能
・シャーシをM1Xサイズに拡大し、新設計クラスAコンストラクションを採用
・「剛性」と「柔軟性」のバランスを徹底追及し、内部振動コントロールを最適化したシャーシ設計
・排熱と音の解放感を追及したデュアル・ハニカム・グリル、セミフローティングトップパネル
・メカニカルストレスを軽減する特殊構造のピンポイントアイソレーションフット
・ピーク・レゾナンスを軽減する特殊なウェーブ形状のヒートシンクを採用
・トリガー入力による電源ON/OFF制御が可能
仕様説明
■出力
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定格出力 |
50W+50W(8Ω、A級動作)
100W+100W(4Ω) |
適合インピーダンス |
4Ω〜16Ω |
■アナログ音声入力
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ES-LINK Analog端子 |
1系統 |
XLR端子 |
1系統 |
RCA端子 |
1系統 |
■オーディオ特性
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周波数特性 |
5Hz〜100kHz(+0dB、–3dB、8Ω) |
S/N比 |
109dB(IHF-A、XLR) |
歪率 |
0.006%(1kHz、8Ω、50W) |
ゲイン |
28.5dB(XLR)
34.5dB(RCA) |
■総合
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電源 |
AC 100V、50/60Hz |
消費電力 |
310W(無信号時 270W) |
外形寸法(W×H×D) |
491 × 221 × 536mm(突起部含む) |
質量 |
48kg |
メーカー保証 |
5年(※メーカー登録後) |
※製品の仕様、外観などは予告なく変更されることがありますので、予めご了承ください。